ソディックのコアテクノロジーが生み出したマシニングセンタ | マシニングセンタ大解剖

株式会社ソディックは、放電加工機やマシニングセンタを提供する精密加工機械メーカーで、世界トップクラスの技術を誇ります。自社開発のNC装置やリニアモーター技術を活用し、高精度な加工を実現。産業機械や食品機械など多岐にわたる分野で活躍しています。

ソディックとは？事業内容などを解説

株式会社ソディックは、放電加工機や射出成形機などの高精度加工技術を提供する精密加工機械メーカーです。世界中で広く利用され、さまざまな産業において重要な役割を果たしています。ここでは、同社の沿革や主な事業内容についてご紹介します。

◇沿革  

株式会社ソディックは1976年に設立され、精密機械産業、電子部品、自動車部品、医療機器製造など、幅広い分野で技術を提供しています。1980年代には放電加工機を市場に投入し、その後もリニアモーター技術やNC装置を組み合わせた革新的な製品を発表してきました。特に1998年に発表されたリニアモーター駆動の放電加工機は、業界で大きな注目を集めました。

その後、射出成形機や3Dプリンターなどの新分野に進出し、次世代産業にも対応した製品群を展開しています。これにより、精密加工機械の技術はさらに広がり、同社は現在も進化を続けています。NC装置は自社開発で、ハードウェアとソフトウェアが一体となったシステムを構築しています。

◇主な事業  

株式会社ソディックの事業は4つに大別され、その中でも工作機械事業が全体の約7割を占めています。特に放電加工機分野では、世界トップクラスのシェアを誇り、高精度加工技術を提供しています。

1. 工作機械事業  

放電加工機を中心に、リニアモーター駆動技術や自社開発のNC装置を活用した高性能な加工機械を製造しています。この分野では金型製造や精密部品加工を支える重要な役割を果たしており、技術力と市場での存在感は世界トップクラスです。

2. 産業機械事業  

主に射出成形機を扱い、プラスチックや樹脂の精密成形に強みを持っています。自動車部品や医療機器、電子部品など、さまざまな業界に高性能な成形ソリューションを提供しています。

3. 食品機械事業  

製麺機や食品加工機械を開発・製造し、食品業界向けに独自の技術を活かした製品を展開しています。この分野でも品質と精度を追求した製品を提供しています。

4. その他の事業  

プラスチック成型品やセラミック製品などの製造・販売、LED照明の開発、機械の消耗品供給やメンテナンスサービスも行っています。これにより、幅広いニーズに対応しています。

ソディックのコアテクノロジー

画像出典：株式会社ソディック

ソディックは、ものづくりの進化を支えるために、独自技術の開発に力を入れており、その中心となる技術が放電加工機やNC装置です。これらの技術は同社の製品群の中核をなしており、精密加工分野での高い評価を受けています。

◇放電加工機  

ソディックの放電加工機は、従来の加工方法では難しかった高精度な金属加工を実現し、業界で高く評価されています。この放電加工機の核心技術は、同社が独自に開発した放電電源装置です。この装置は精密な電気エネルギーの制御を行い、加工中の温度や圧力を最適に保つことで、精度の高い加工を実現しています。

ソディックの放電加工機は、従来の方法では達成できなかった精度を提供し、自動車産業、航空機、電子機器など、さまざまな高度な要求に応えています。これにより、より複雑で精緻な製品の製造が可能となっています。

◇NC装置  

ソディックのNC装置は、放電加工機や工作機械における精密な制御を実現するための重要な技術です。1977年には、NC形彫り放電加工機用電源「GPC」シリーズを開発し、これにより加工精度が大幅に向上しました。その後、1981年には5軸同時制御が可能な「330W」を完成させ、より複雑な加工が実現できるようになりました。

さらに、リニアモーター技術を採用した「ソディックモーションコントローラ（SMC）」を開発。この技術により、機械の動きはより精密に制御され、生産性が向上しました。製造現場での効率化にも大いに貢献しています。2012年には、スマートフォン感覚で操作できる「19インチ・マルチタッチ液晶型CNC装置」を開発し、超精密加工分野をリードしています。

ソディックのマシニングセンタ

ソディックが提供するマシニングセンタは、最先端技術を駆使し、超精密加工を実現する製品です。各機種は異なる加工ニーズに応じて、独自の特徴を持ち、製造現場の要求に応える高性能なマシンとして広く活用されています。以下では、代表的な2つの製品をご紹介します。

◇AZ275nano  

AZ275nanoは、ナノ領域加工を追求するために設計された最上級のマシニングセンタです。特に、独自の「アクティブ除振システム カウンタテーブル機構」を搭載しており、加工中に発生する振動を極限まで抑えることができます。この革新的な技術により、ナノレベルの超精密な切削加工が可能になり、高精度な加工が求められる分野に最適です。

さらに、最大120,000min⁻¹という広範囲な回転速度を実現し、新型NC装置「LN4AZ」と高周波アンプの搭載により、優れた制御性能を提供します。このため、複雑な加工も高精度で行うことができ、超精密加工分野での強力なツールとなっています。

◇UX650L  

UX650Lは、既存の設計を見直してさらに高い効率性と精度を追求したマシニングセンタです。このモデルには、自社開発のNC装置とリニアモーターが搭載されており、動作の応答性が大幅に向上しました。特に、X軸を含む主軸ヘッドの重さが約11%軽量化されており、加工動作がより滑らかになっています。

また、工具交換時間は従来機と比較して50%短縮され、生産効率が大きく向上しました。オプションの主軸オリエンテーション機能は、振れ精度のばらつきを大きく抑制し、精度の高い加工をサポートします。さらに、アイドリングストップ機能を搭載しており、省エネルギーにも対応しており、環境負荷の低減にも貢献しています。

その他のマシニングセンタメーカー

マシニングセンタは、精密加工や複雑な部品の製造において重要な役割を果たす工作機械であり、さまざまな企業が技術革新に取り組んでいます。ここでは、ソディック以外の代表的なマシニングセンタメーカーとして「メクトロン」と「ブラザー工業」についてご紹介します。

◇メクトロン  

メクトロンは、マシニングセンタやFA周辺機器の開発・提供を行う日本の工作機械メーカーです。自動車、航空宇宙、電子機器など、さまざまな産業に対応した高精度なマシニングセンタを提供しています。特に注目すべきは、立形コンパクトマシニングセンタとマルチセル横形マシニングセンタです。これらの機械は、異なる特性を持ちながら、顧客の多様なニーズに対応しています。

立形マシニングセンタはコンパクトでありながら高剛性を誇り、高速加工にも対応可能です。このため、狭い工場スペースでも効率的な運用が実現できます。横形マシニングセンタは、多面加工を得意としており、大型部品の加工にも柔軟に対応できる構造を備えています。

◇ブラザー工業  

ブラザー工業株式会社は、1908年に創業した日本の大手精密機械メーカーです。これまで主にプリンターや縫製機器を製造してきましたが、近年では工作機械分野に注力し、高精度なマシニングセンタの開発と提供にも力を入れています。特に注目されているのが「SPEEDIO」シリーズです。

SPEEDIOはコンパクトなマシニングセンタで、高速加工と高精度を兼ね備えています。新モデルでは、加工領域の拡大により、大型部品や複雑な形状への対応力が強化されました。主軸の剛性向上により、鉄やステンレス、チタン合金などの難加工素材にも対応できるようになり、性能がさらに向上しました。また、5軸制御に対応するUシリーズでは、多面加工が可能で、EV関連部品などの大型部品の加工にも対応しています。

株式会社ソディックは、精密加工機械の製造を手掛ける企業で、1976年に設立されました。放電加工機を中心に、射出成形機や3Dプリンターなどの新分野にも進出し、世界中で使用されています。主な事業は工作機械事業、産業機械事業、食品機械事業、その他の事業に分かれており、特に工作機械事業では放電加工機分野で世界トップクラスのシェアを誇ります。

同社の技術の中核を成すのは、放電加工機や自社開発のNC装置です。放電加工機は精密な金属加工を可能にし、自動車や航空機、電子機器などの製造に貢献しています。また、リニアモーター技術を採用したNC装置は、精密な制御と効率化を実現しています。

ソディックの代表的なマシニングセンタには、ナノ領域の精密加工を可能にする「AZ275nano」と、効率と精度を追求した「UX650L」があります。これらは高精度な加工を実現するための革新的技術を備え、製造現場で広く活用されています。

また、ソディック以外にも、メクトロンやブラザー工業が高精度なマシニングセンタを提供しており、これらも異なるニーズに応える製品を展開しています。