高島産業株式会社のSDGsへの挑戦とCO2削減に成功したマシニングセンタ | マシニングセンタ大解剖
企業情報
高島産業株式会社のSDGsへの挑戦とCO2削減に成功したマシニングセンタ
公開:2024.06.26 更新:2024.06.26高島産業株式会社は、その長い歴史と技術力を活かし、SDGsへの取り組みを積極的に推進しています。特に、製造現場でのCO2排出削減に向けた取り組みは、環境保護と持続可能な経営の一環として重要な役割を果たしています。その象徴として、高精度と省エネを両立した小型マシニングセンタ「マルチプロ」が成功を収め、業界内外から高く評価されています。
目次
SDGsへの取組みを続ける高島産業株式会社
高島産業株式会社は、長野県茅野市に本社を置く歴史ある製造企業です。高い技術を誇り、複数のISO認証を取得しています。SDGsにも取り組んでいて、長野県SDGs推進企業に登録されています。
◇高島産業株式会社とは
創業1945年(昭和20年)3月16日、本社を長野県茅野市に構える高島産業株式会社は、精密な製品開発技術を基盤に、金属加工製品、セラミック加工製品、機械設計製作などを手がけている企業です。
製品の品質に対するこだわりが強く、本社や関連会社などで複数のISO認証を取得し、中国工場やベトナム工場でもISO認証を取得しています。シチズン、ツガミ、セイコーなどの大企業からも多数の受注をしており、その高い技術力は業界内でも一目置かれています。
ものづくりの企業として、顧客満足度の高い製品を提供し、地球環境に配慮した事業運営を目指しているのも特徴です。
◇SDGsへの取り組み
高島産業株式会社の経営理念は、環境に配慮し、人類の幸福を最優先に考えることです。この経営理念は、SDGsの達成目標と一致していて、社員一人ひとりがそのことを意識し、それぞれの役割を果たすことでSDGsにも貢献しています。
SDGsへの具体的な取り組みは、女性の管理職者の登用、工程・作業改善・6Sの活性化による生産性の向上、事業活動におけるCO2排出量削減などです。
製造業で脱炭素に向けた取り組みが必要な理由
画像出典:フォトAC
温室効果ガスは地球温暖化や異常気象の主な原因であり、2016年のパリ協定で世界各国が温室効果ガスの削減に合意しました。温室効果ガスの大半はCO2で、CO2の多くは製造現場で排出されているため、製造業で脱炭素に向けた取り組みが必要不可欠です。
◇製造現場で多く排出されるCO2
製造業は大規模な工場で製品を生産しているため、CO2の排出量が多くなる傾向にあります。実際に、日本におけるCO2排出量の多くは製造現場で排出されており、2019年度(令和元年)の環境省のデータによると、その割合は総排出量の約35%です。
そのため、日本の温室効果ガス削減目標の達成において、製造業は中心的な役割を果たす責任があります。製造業が取り組むべき脱炭素化は、エネルギーの脱炭素化、製造工程における脱炭素化、民生部門向け製品および運輸の脱炭素化の3つです。
◇世界的にも求められている脱炭素への対策
そもそも、脱炭素化に取り組む理由は、CO2が大半を占める温室効果ガスが地球温暖化や異常気象問題を引き起こすからです。2016年に発効した「パリ協定」では、気候変動問題を世界的な課題と位置づけ、世界各国が温室効果ガスの削減に向けて行動することで合意しています。
この流れに沿って、日本政府も2020年10月に「カーボンニュートラル」を掲げ、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると宣言しました。日本の温室効果ガス排出量の約78%は企業や公共事業に由来しており、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするためには、企業の積極的な協力が必要不可欠です。
小型だけど高性能!CO2排出量の削減にも成功したマルチプロ
画像出典:高島産業株式会社
MULTIPRO(マルチプロ)は、高島産業株式会社の小型マシニングセンタです。精度と高剛性を誇り、CO2排出量削減にも成功しました。こちらでは、マルチプロの特徴と加工事例をご紹介いたします。
◇マルチプロとは
マルチプロの主な特徴は、次の3つです。
コンパクトで環境に優しい
マルチプロのサイズは縦×幅×奥=約2000×750×1100(mm)で、省スペース設計です。コンパクトで、省エネ効果も期待できます。CO2排出量も少なく、大型マシニングセンタと比較するとCO2排出量はわずか1/6です。
柔軟性に優れている
キャッチパレットなどを使って、簡単に移動できます。生産に合わせたレイアウト変更ができ、独自の生産ラインを構成することが可能です。
高精度・高剛性
マシニングセンタは、高精度加工において振動や熱変位、駆動時の変形を抑えるために本体の剛性が重要です。新型の一体構造化設計(鋳物ベースとコラム)は、従来のマルチプロVよりも約1.3倍の荷重に対応し、たわみ量を1.33µmに抑えることで、最高の精度(繰り返し位置決め精度±1µm)を実現します。
これにより、高剛性と耐久力を兼ね備え、特に高剛性高硬度材の加工において優れた性能を発揮します。また、小型ながら大型加工機と比較して熱による変形の影響を小さくし、高精度の加工が可能となっています。
◇マルチプロの加工事例
数ある小型加工機のなかでトップクラスの高精度と高剛性を誇るマルチプロは、一般鋼材、SUS、樹脂、セラミックスなど幅広い材質の加工が可能です。本体と各種ヘッド、周辺オプションを変更することで、切削加工、研削加工、レーザー加工、超音波加工などもできます。
マルチプロの開発秘話と可能性
高島産業株式会社のマルチプロは、その性能が高く評価され第3回ものづくり日本大賞で優秀賞を受賞しています。こちらでは、マルチプロの開発秘話と今後の可能性をご紹介いたします。
◇省エネ・省スペースのニーズに応えたい
近年、環境汚染や地球温暖化の解決策として、マイクロマシン、マイクロファクトリー、デスクトップファクトリーという概念が注目されています。簡単にいうと、小さなものをコンパクトな機械や工場で合理的に生産するという考えです。
高島産業株式会社も、省エネ・省スペースのニーズに応えるために、環境問題にも対応できる製品の開発に着手しました。高い精度とコンパクトサイズを追求した結果誕生したのが、多機能デスクトップ加工機であるマルチプロです。
◇認められた性能と今後の可能性
多機能・高剛性・高精度のデスクトップ型プラットフォームの開発が高く評価され、マルチプロは2009年の第3回ものづくり日本大賞で優秀賞を受賞しました。同じころ、高島産業株式会社は、マルチプロをベースとした三次元内部構造顕微鏡システムの共同研究も開始しています。
このシステムが完成すれば、金属材料内部の微視構造を、精密切削による鏡面生成と顕微鏡観察を多断面で繰り返すことで可視化できます。また、マルチプロとロボットを組み合わせれば、工場がひとつのシステムとして機能するスマート工場の構築も可能です。
マルチプロがさらに進化し自動化が進めば、将来的には製造業は人手不足の解決にも役立つでしょう。
高島産業株式会社は、長野県茅野市に本社を置く歴史ある製造企業で、精密な製品開発技術を誇り、金属加工製品やセラミック加工製品の製造を行っています。高い品質基準を守り、ISO認証を多数取得しており、世界的な大企業からの信頼も厚いです。
また、同社はSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に取り組んでおり、女性管理職の登用やCO2排出量の削減など、具体的な取り組みを行っています。製造業におけるCO2排出量の問題にも注力し、省エネ・省スペースを追求した小型マシニングセンタ「マルチプロ」を開発しました。
このマルチプロは、高精度と高剛性を兼ね備え、製造業界に革新をもたらしています。 さらに、マルチプロは環境に配慮した製品開発を通じて、地球環境への貢献も目指しています。高島産業株式会社の取り組みは、技術革新と持続可能な製造の両立を目指す先進的なモデルとして、産業界に示唆を与えています。
メディア推奨 メーカー6選