ホーコスの取り組みとマシニングセンタを含む工作機械業界で進む環境対策 | マシニングセンタ大解剖
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ホーコスの取り組みとマシニングセンタを含む工作機械業界で進む環境対策
公開:2024.02.27 更新:2024.03.28環境保護への意識が高まるなか、ホーコスは環境に配慮した製品を提供する使命を掲げています。特に工作機械部門では、高精度かつ高能率な工作機械を開発し、環境負荷を最小限に抑えるMQLシステムを採用しています。こちらでは、ホーコスの取り組みや製品の特長をご紹介します。世界的にカーボンニュートラルへの動きが加速する中で、工作機械業界においても環境対策は重要な課題です。
目次
環境に配慮した製品を提供するホーコス
ホーコスは、環境に配慮した製品を提供することを使命としています。持続可能な未来のために、工作機械や生産設備における環境負荷を最小限に抑える取り組みを積極的に推進しています。
◇ホーコス株式会社とは
ホーコス株式会社は、工作機械、環境改善機器、建築設備機器の3つの部門を持ち、50年以上の歴史を誇る企業です。工作機械部門では、主に自動車のエンジンやトランスミッションを加工することに特化した、高精度かつ高能率な数値制御工作機械を製造しています。これらの機械は、日本をはじめとする世界各国の自動車メーカーや部品メーカーに納入されています。また、環境に配慮した技術として、安全でない切削液を使用せずに高精度・高能率加工を実現するMQLシステムを開発しました。
環境改善機器部門では、産業活動で発生する粉塵などの公害を除去するための集塵装置を中心に製造しています。そして、建築設備機器部門では、業務用厨房の給水排水・給気排気設備を手がけており、特に排水中の油脂分を取り除くグリーストラップが主力製品となっています。
ホーコス株式会社は、地球環境への配慮を大切にし、環境に無害な技術や製品を次々と開発・提供しています。その取り組みは、産業界だけでなく社会全体に貢献しています。
◇環境への負荷を最小限にする取り組み
ホーコスは、21世紀の環境保護の重要課題に対応し、環境負荷を低減した製品の提供を推進しています。その一環として、環境への負荷が少ない製品を調達する「グリーン調達」に取り組んでいます。
この取り組みの目的は、顧客に環境に配慮した商品を提供することで、地球環境を保全し、循環型社会の構築に貢献することです。具体的には、製品や部品、部材を選定する際に、その環境負荷を最小限に抑えることを重視しています。
この取り組みは、ホーコスが調達するすべての製品や部品に適用されており、製品の開発や設計段階から環境負荷を考慮した取り組みが行われています。これにより、より持続可能な製品を提供することで、環境保護に貢献しています。
ホーコスの優れた製品をご紹介
画像出典先:ホーコス株式会社
ホーコスでは多様な製品を提供していますが、ここでは工作機械に焦点をあてて、いくつかピックアップしてご紹介します。
◇マシニングセンタ
ホーコスのマシニングセンタの中から、ベッドレスタイプのNシリーズ、量産ラインに対応したTシリーズをご紹介します。
Nシリーズ
Nシリーズの特長は、省スペースで効率的な加工を実現する革新的な設計がです。従来のマシニングセンタと比べて、設置スペースが半分以下になり、両面からのメンテナンスも不要になりました。マシン前後面にメンテナンス機器を配置することで、レイアウトの自由度が高まり、壁面に設置することも可能です。
また、高精度な加工を実現するために、ベッドレス構造が採用されています。ワークの下に何もないため、切りくずやクーラントが機体に触れることがほとんどなく、加工時の影響が最小限に抑えられます。さらに、主軸加工部とワークを固定する治具などを同一部品に取り付けることで、力の伝達が最適化され、高剛性な加工が可能となります。
Tシリーズ
Tシリーズは、高い生産性、稼働率、およびメンテナンス性を実現するために設計されています。そのコンパクトな設計は、ローディングハイトを低くし、工場内のスペースを効率的に活用できます。特にライン向けに最適化されたハイパフォーマンスマシニングセンタであり、ツインコラム構造を採用しています。
ツインコラム構造は、省エネ、高剛性、高加減速を実現し、生産性の向上に貢献します。第一コラムはベッド一体構造であり、高剛性と低重心を実現しています。第二コラムは可動コラムで、軽量なダクタイル鋳鉄を使用しています。これらの構造により、Y軸可動部が小型・軽量化され、省エネと高加減速が両立されています。
◇その他の工作機械
ホーコスではマシニングセンタ以外でも、作業効率や環境への負荷を軽減した様々な工作機械を提供しています。以下で製品の特長や魅力を解説します。
トランスファライン
ホーコスのトランスファラインは、柔軟性と生産性の両立を実現する先進的な製造ラインです。特殊加工に要する時間のかかる作業には、高精度かつ高能率な専用機を組み込み、効率化を図っています。また、マシニングセルを適切な箇所に組み込むことで、フレキシビリティに富んだラインを構築しています。
さらに、各種セルを標準化し、それらを組み合わせるだけで基本ラインを構築できるようにしています。これにより、納期の短縮やコストの削減を実現しています。豊富なバリエーションを持つ各セルやユニットは、さまざまな加工範囲やサイズに対応しており、多様なニーズに適した最適なラインを構築できます。
他にもFMS(柔軟製造システム)を扱っています。シリンダヘッド加工やABS加工などの実例があり、短いサイクルタイムと効率的な全長を実現できます。
iMQL
iMQL®(主軸内部ミキシング)は、切削加工における革新的な方法です。通常の切削加工では大量の切削油剤(クーラント)が使用されますが、iMQL®では環境に優しい植物油やエステル油を微量の潤滑液として使用します。この方法により、切削油剤の使用量を最小限に抑えられます。
iMQL®では、主軸内部でツールシャンクの直前で微量の切削剤と空気が混合され、切削刃具の先端から噴射されます。この独自の方式により、頻繁な工具交換や高速回転、高速送りにもタイムラグなく対応できます。従来の加工方法と比べて、環境への負荷を大幅に軽減しつつ、高速かつ効率的な加工が可能となります。
ホーコスのiMQL®は、環境に配慮しながらも生産性を向上させる革新的な技術であり、工作機械業界における持続可能な開発の一翼を担っています。
工作機械業界で環境が重視される理由
工作機械業界で環境への配慮が重視される理由は、近年の社会的な潮流や環境規制の厳格化により、企業や消費者が持続可能性と環境負荷の低減に対する関心を高めていることにあります。工作機械は製造プロセスにおいて重要な役割を果たし、その運用が環境に与える影響は大きいため、業界全体が環境への配慮を強化しています。
◇カーボンニュートラルに対する世界的な動き
2015年に採択された国連の持続可能な開発目標(SDGs)や、同年のCOP21でのパリ協定の締結により、世界的にカーボンニュートラルへの取り組みが加速しています。パリ協定では、温室効果ガスの排出削減目標が厳格化され、平均気温上昇を2℃以下に抑えることや、できるだけ1.5℃に抑える努力が求められました。これに伴い、企業の間でもカーボンニュートラルへの取り組みが進んでいます。
Google、Apple、Meta(旧Facebook)、Amazon、Microsoftなど世界を代表する企業は、すでにカーボンニュートラルへの取り組みを強化しており、環境への責任を果たす姿勢を示しています。特に、ヨーロッパでは企業の環境への取り組みが評価され、投資や融資の際にも重要な評価基準となっています。
◇国内の工作機械業界の取り組み
国内の工作機械業界では、環境への配慮がますます重要視されています。2021年に策定された「カーボンニュートラル行動計画」では、2030年までに2013年の基準に比べてCO2排出量を38%削減する目標が設定されました。この計画の見直しは、地球温暖化対策の重要性が高まったことに基づいています。
2021年度の実績では、生産活動量は増加しましたが、CO2排出量は20.6%減少しました。この減少には、CO2排出係数の低下や会員企業の設備投資が寄与しています。目標達成に向けた進捗率は52.4%であり、高い目標に対する取り組みが進行中です。
省エネ効率の高い製品やサービスの普及を通じて、排出量削減への貢献が図られています。例えば、高効率ユニット搭載工作機械や複合加工機、最適運転化工作機械、油圧レス化工作機械、高精度・高品質な加工などが挙げられます。これらの取り組みによって、工作機械業界は環境負荷の削減に向けて着実な進展を遂げています。
ホーコスは50年以上の歴史を持ち、工作機械、環境改善機器、建築設備機器の3つの部門を展開しています。工作機械部門では、自動車産業向けの高精度かつ高能率な数値制御工作機械を製造し、環境負荷を最小限に抑えるためにMQLシステムを開発しました。
ホーコスは、地球環境への配慮を大切にし、環境に無害な技術や製品を開発・提供することで、産業界や社会全体に貢献しています。さらに、製品や部品、部材の調達において「グリーン調達」を推進し、環境負荷を最小限に抑える取り組みを行っています。
この取り組みは、製品の開発や設計段階から環境負荷を考慮し、持続可能な製品を提供することで環境保護に貢献しています。同様に、工作機械業界全体でも環境への配慮が進んでおり、2030年までにCO2排出量を38%削減する目標が設定されています。
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