マシニングオペレーターは難しい?主な仕事内容と向いている人の特徴 | マシニングセンタ大解剖
特集記事
マシニングオペレーターは難しい?主な仕事内容と向いている人の特徴
公開:2024.06.26 更新:2024.06.26マシニングオペレーターの役割は、高度な技術と細心の注意が求められる製造業の中で重要な位置を占めています。マシニングオペレーターは、精密な加工を行う専門家です。この仕事は細部にわたる準備や設定が必要であり、加工中の微細な誤差も許されません。技術の向上と経験を積むことで、将来性のあるキャリアを築くことができる職業です。
目次
マシニングオペレーターとは?
マシニングオペレーターは金属加工工場や製造工場で活躍する技術者です。機械を操作するだけでなく、図面を読み解き、加工条件を設定し、工具を選定するなど、高度な専門知識とスキルが求められます。
◇マシニングオペレーターとは
マシニングオペレーターは、金属加工のためのマシニングセンタを操作する専門家です。機械による加工中には熱が発生し、それによって加工物の金属が変形する可能性があるため、加工物の性質や材料の特性について深い知識が求められます。
製造業において、重要な役割を担っている職種のひとつです。マシニングオペレーターの国家資格はありませんが、機械加工技能士やCAD利用技術者試験の資格が役立ちます。具体的な仕事内容については、次項でご説明いたします。
◇マシニングオペレーターが活躍する現場は?
マシニングオペレーターが活躍する主な現場は、金属加工や金属製造の工場ですが、プラスチックやセラミックなどの加工を行うことがあります。マシニングオペレーターが働く製造業は、生活必需品を取り扱うため景気変動を受けにくい、比較的安定している業種です。
また、AIや産業用ロボットの普及が進んでも仕事が奪われる心配も少ないため、将来的にも活躍する場は多い職業と考えられます。
マシニングオペレーターの主な仕事内容
画像出典:フォトAC
マシニングオペレーターの仕事内容は、多岐にわたります。主な仕事内容は、段取り、データ入力、加工、チェックの4つです。
◇段取り
段取りとは、マシニングセンターで加工作業を行う際に必要な準備工程のことです。まず、図面をもとにしてどの工具を使い、どんな設定で加工するかを細かく計画します。たとえば、穴を開ける場合でも、その深さや位置、使用する工具の直径、回転数などを決定する必要があります。
加工の順序や座標軸、回転数や切削速度、切削方向、さらには切削油の噴射量やタイミングまで、細部にわたって設定を行います。この段階でしっかりと計画を立てないと、後の作業で問題が生じる恐れがあります。特に複雑な加工をする場合には、CADやCAMといったソフトウェアを使用してプログラムを作成することが一般的です。
◇データ入力
段取りで決めた加工条件やプログラムをパソコン上で作成し、それをマシニングセンタに正確に入力します。加工に必要な数値データは細かく、例えば回転数や切削速度、座標軸の設定など多岐にわたります。これらを正確に打ち込むことで、加工の精度や効率性が確保されます。
同時に、データ入力と並行して素材を固定するための器具や工具もセッティングします。これにより、加工中に素材が移動することを防ぎ、プログラムが正確に実行される環境を整えます。セッティングの際には微調整が必要であり、プログラムとの干渉を避けるためにも注意深い作業が求められます。
◇加工
慣らし運転で入力データやセッティングに問題がないことを確認したうえで、マシニングセンタを実際に稼働させて加工作業を行います。加工作業は荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工の順番で進めるのが一般的です。加工をする際には、品質管理や作業の進捗管理、必要に応じた調整や修正なども行います。
◇チェック
完成した部品をマシニングセンタから取り外し、品質のチェックをします。部品の仕様に応じた測定機器を使用して寸法検査を行い、問題が見つかったら加工条件を見直して修正するのもマシニングオペレーターの仕事です。
マシニングオペレーターの仕事は難しいと感じるポイント
マシニングオペレーターは将来性があり近年注目されている仕事である一方で、難しい仕事と思われることも少なくありません。難しい仕事と感じる主なポイントとしては、加工前の準備、加工時の注意点、仕上げの難しさなどがあります。
◇加工前の準備
加工前の準備で最も難しいのが、図面の正確な理解です。図面を見ても製品のイメージが湧かないことがあり、図面を理解するためには、立体を想像する能力が必要とされます。さらに、加工順序を設計し、クランプとバイスの使いこなし、プログラムを迅速に作成しなくてはいけない点も、マシニングオペレーターの仕事が難しいと感じられる理由です。
◇加工時の注意点
マシニングセンタの加工では、0.001mm以下の精度が求められることもよくあります。精度の高い加工を行うためには測定技術が極めて重要ですが、正確な測定は難易度の高い作業です。切削加工でも、少しのミスも許されません。
最終工程でほんの少し削りすぎただけでも、材料の注文からやり直すことになります。微小な誤差も生じないようにするためには、切削条件の調整を正確に行わなくてはいけませんが、切削条件の調整も経験が必要です。
◇仕上げの難しさ
加工品の仕上がりをよくするためには、公差に入れる作業と表面仕上げの管理が必要ですが、いずれも豊富な経験が不可欠です。加工時に発生したバリを除去するバリ取りも、仕上がりを左右します。バリ取りにも難しい作業で、高い技術力と適切な工具や方法の選択が求められます。
マシニングオペレーターが向いている人の特徴
どんな職業にも向き不向きがあるため、仕事への適性を見極めることも大切です。マシニングオペレーターは、細かな加工を行うため注意深い人に向く職業です。難しい面もありますが、機械操作やモノづくりが好きな人であれば、やりがいを感じやすいでしょう。
◇マシニングオペレーターに向いている人
マシニングオペレーターが向いている人の主な特徴は、次のとおりです。
注意深く数字に強い人
マシニングオペレーターは細かな加工を行うため、作業には細心の注意が求められます。データ入力や工具のセッティングに正確さが要求され、ミスが許されない作業です。図面通りに仕上げるためには、何度も確認を重ねる姿勢が重要です。数値データを扱うため、数字に強い人も適しています。
機械操作やモノづくりに関心がある人
好きなことを職業にすると、モチベーションを維持でき学ぶ意欲も向上します。機械操作やモノづくりに関心があると、業務での成果を出しやすくなります。
◇難しいがやりがいのある仕事
マシニングオペレーターの仕事は、機械を操作して素材を精密に加工する技術的に高度な職業です。初めは難しいかもしれませんが、経験や実務を積むことで着実にスキルを磨くことができます。
性別や年齢に関係なく誰でも挑戦できる職業であり、その技能は製造業全般で重宝されます。一度身につけた技術は一生ものであり、不況に強い職業でもあります。また、挑戦の度に技術が向上し、完成した部品の達成感は非常に大きいです。マシニングオペレーターとしてのキャリアは、難しさとやりがいを兼ね備えた魅力的な職業です。
マシニングオペレーターはマシニングセンタを操作し、金属やプラスチックなどの素材を図面に基づいて精密に加工します。このプロセスでは、加工条件の設定、適切な工具の選定、加工時の細かな調整が必要とされます。
マシニングオペレーターの仕事には、高度な技術と注意深い作業が求められます。加工中は微細な誤差も許されず、加工条件の調整や作業の進捗管理が重要です。仕上げ作業では、加工品の公差管理や表面仕上げの品質管理が行われ、部品の仕様に合わせた精度の確保が求められます。また、バリ取りなどの細かな作業も重要です。
マシニングオペレーターに向いている人物像は、細部にわたる作業への関心や数字に対する高い理解力があります。この職業は技術的に高度であり、経験を積むことでスキルを磨き、製造業における重要な専門家としてのキャリアを築くことができます。
メディア推奨 メーカー6選