マシニングオペレーターは難しい?主な仕事内容と向いている人の特徴 | マシニングセンタ大解剖
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マシニングオペレーターは難しい?主な仕事内容と向いている人の特徴
公開:2024.06.26 更新:2024.12.25
マシニングオペレーターの役割は、高度な技術と細心の注意が求められる製造業の中で重要な位置を占めています。マシニングオペレーターは、精密な加工を行う専門家です。この仕事は細部にわたる準備や設定が必要であり、加工中の微細な誤差も許されません。技術の向上と経験を積むことで、将来性のあるキャリアを築くことができる職業です。
目次
マシニングオペレーターとは?
マシニングオペレーターは金属加工工場や製造工場で活躍する技術者です。機械を操作するだけでなく、図面を読み解き、加工条件を設定し、工具を選定するなど、高度な専門知識とスキルが求められます。
◇マシニングオペレーターとは
マシニングオペレーターは、金属加工のためのマシニングセンタを操作する専門家です。機械による加工中には熱が発生し、それによって加工物の金属が変形する可能性があるため、加工物の性質や材料の特性について深い知識が求められます。
製造業において、重要な役割を担っている職種のひとつです。マシニングオペレーターの国家資格はありませんが、機械加工技能士やCAD利用技術者試験の資格が役立ちます。具体的な仕事内容については、次項でご説明いたします。
◇マシニングオペレーターが活躍する現場は?
マシニングオペレーターが活躍する主な現場は、金属加工や金属製造の工場ですが、プラスチックやセラミックなどの加工を行うことがあります。マシニングオペレーターが働く製造業は、生活必需品を取り扱うため景気変動を受けにくい、比較的安定している業種です。
また、AIや産業用ロボットの普及が進んでも仕事が奪われる心配も少ないため、将来的にも活躍する場は多い職業と考えられます。
◇マシニングオペレーターの年収
マシニングセンタ・オペレーターの平均年収は約335万円で、一般的には300万円前後が多いとされています。これは日本全体の正社員の平均年収(300万円~400万円)と同じくらいですが、やや低めの水準です。
しかし、年収は担当する業務や個々のスキルによって大きく異なります。基本的な機械操作に加えて、図面の読解や作成、設計業務などのスキルがある場合、年収400万円以上を目指すことも可能です。
また、経験年数や勤務先の規模、地域によっても年収に差があります。大手企業や技術を重視する職場では、高収入が期待できます。一方で、地方の中小企業では比較的低い水準に留まることがあります。
スキルアップや資格取得、CADやCAMソフトの習得が収入向上に直結するため、技術を磨くことが重要です。努力次第でキャリアアップや収入増加が可能な職種です。
◇マシニングオペレーターの将来性
マシニングセンタ・オペレーターには将来性があります。少子高齢化が進んでおり、熟練工の後継者不足が問題となっています。そのため、多くの企業が自動化されたマシニングセンタを導入することが予想されており、オペレーターの需要は今後増加すると考えられています。
町工場や工作機械メーカーでは、金属加工のスキルを持つ人材が不可欠であり、マシニングセンタ・オペレーターの求人は安定しています。
さらに、この職種は体力よりも技術力が求められるため、性別や年齢に関係なく長く働き続けることができる点が魅力です。経験を積んでスキルを高めることで、キャリアアップが可能であり、長期的に活躍できる職業として注目されています。
マシニングオペレーターの主な仕事内容

画像出典:フォトAC
マシニングオペレーターの仕事内容は、多岐にわたります。主な仕事内容は、段取り、データ入力、加工、チェックの4つです。
◇段取り
段取りとは、マシニングセンターで加工作業を行う際に必要な準備工程のことです。まず、図面をもとにしてどの工具を使い、どんな設定で加工するかを細かく計画します。たとえば、穴を開ける場合でも、その深さや位置、使用する工具の直径、回転数などを決定する必要があります。
加工の順序や座標軸、回転数や切削速度、切削方向、さらには切削油の噴射量やタイミングまで、細部にわたって設定を行います。この段階でしっかりと計画を立てないと、後の作業で問題が生じる恐れがあります。特に複雑な加工をする場合には、CADやCAMといったソフトウェアを使用してプログラムを作成することが一般的です。
◇データ入力
段取りで決めた加工条件やプログラムをパソコン上で作成し、それをマシニングセンタに正確に入力します。加工に必要な数値データは細かく、例えば回転数や切削速度、座標軸の設定など多岐にわたります。これらを正確に打ち込むことで、加工の精度や効率性が確保されます。
同時に、データ入力と並行して素材を固定するための器具や工具もセッティングします。これにより、加工中に素材が移動することを防ぎ、プログラムが正確に実行される環境を整えます。セッティングの際には微調整が必要であり、プログラムとの干渉を避けるためにも注意深い作業が求められます。
◇加工
慣らし運転で入力データやセッティングに問題がないことを確認したうえで、マシニングセンタを実際に稼働させて加工作業を行います。加工作業は荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工の順番で進めるのが一般的です。加工をする際には、品質管理や作業の進捗管理、必要に応じた調整や修正なども行います。
◇チェック
完成した部品をマシニングセンタから取り外し、品質のチェックをします。部品の仕様に応じた測定機器を使用して寸法検査を行い、問題が見つかったら加工条件を見直して修正するのもマシニングオペレーターの仕事です。
マシニングオペレーターの仕事は難しいと感じるポイント
マシニングオペレーターは将来性があり近年注目されている仕事である一方で、難しい仕事と思われることも少なくありません。難しい仕事と感じる主なポイントとしては、加工前の準備、加工時の注意点、仕上げの難しさなどがあります。
◇加工前の準備
加工前の準備で最も難しいのが、図面の正確な理解です。図面を見ても製品のイメージが湧かないことがあり、図面を理解するためには、立体を想像する能力が必要とされます。さらに、加工順序を設計し、クランプとバイスの使いこなし、プログラムを迅速に作成しなくてはいけない点も、マシニングオペレーターの仕事が難しいと感じられる理由です。
◇加工時の注意点
マシニングセンタの加工では、0.001mm以下の精度が求められることもよくあります。精度の高い加工を行うためには測定技術が極めて重要ですが、正確な測定は難易度の高い作業です。切削加工でも、少しのミスも許されません。
最終工程でほんの少し削りすぎただけでも、材料の注文からやり直すことになります。微小な誤差も生じないようにするためには、切削条件の調整を正確に行わなくてはいけませんが、切削条件の調整も経験が必要です。
◇仕上げの難しさ
加工品の仕上がりをよくするためには、公差に入れる作業と表面仕上げの管理が必要ですが、いずれも豊富な経験が不可欠です。加工時に発生したバリを除去するバリ取りも、仕上がりを左右します。バリ取りにも難しい作業で、高い技術力と適切な工具や方法の選択が求められます。
◇夜勤の可能性
工場勤務では交替制を採用していることが多く、マシニングオペレーターも夜勤が発生することがあります。昼間のみの勤務を希望する場合は、夜勤がない工場を選ぶことが大切です。
一方、夜勤に対応できる場合、深夜手当が支給されるため、日勤よりも収入が増えることがあります。効率的に稼ぎたい方にとっては、夜勤を含む交替制勤務が有利な選択肢となります。深夜手当が支給されるため、たくさん稼ぎたい方には特におすすめです。
◇正確さが求められる
マシニングオペレーターの仕事は、工場内の業務の中でも特に精密さが求められます。正確なデータ入力や、加工後の完成品が図面通りに仕上がっているかを詳細に測定する作業が含まれます。これには、寸法や形状の誤差を徹底的にチェックし、仕様に確実に適合させる責任があります。
特に、マシニングセンタを使用した加工では、1000分の1ミリ単位という非常に高い精度が求められるため、オペレーターの経験や技術が製品の品質に直結します。この精度を実現するためには、加工条件の設定や工具の選定、切削速度の調整などを的確に管理する必要があります。
また、加工中にわずかな異常が発生した場合、即座に対応し、必要に応じて調整を行う判断力と迅速な行動が求められます。
マシニングオペレーターが向いている人の特徴
どんな職業にも向き不向きがあるため、仕事への適性を見極めることも大切です。マシニングオペレーターは、細かな加工を行うため注意深い人に向く職業です。難しい面もありますが、機械操作やモノづくりが好きな人であれば、やりがいを感じやすいでしょう。
◇マシニングオペレーターに向いている人
マシニングオペレーターが向いている人の主な特徴は、次のとおりです。
注意深く数字に強い人
マシニングオペレーターは細かな加工を行うため、作業には細心の注意が求められます。データ入力や工具のセッティングに正確さが要求され、ミスが許されない作業です。図面通りに仕上げるためには、何度も確認を重ねる姿勢が重要です。数値データを扱うため、数字に強い人も適しています。
機械操作やモノづくりに関心がある人
好きなことを職業にすると、モチベーションを維持でき学ぶ意欲も向上します。機械操作やモノづくりに関心があると、業務での成果を出しやすくなります。
慎重な人
マシニングセンタ・オペレーターの主な仕事は、機械に正確な数値を入力して加工を指示することです。マシニングセンタを使った作業では、加工物に対して1000分の1ミリ単位で調整する必要があります。
そのため、慎重で丁寧な性格の人に向いている職種です。細かい観察力や、何事にも丁寧に取り組む姿勢は、入力データの正確さを保つために大いに役立ちます。特に、何度も確認作業を行う慎重さは、精密な加工が求められるこの仕事には欠かせません。
一方で、数値の正確さに無頓着で、大雑把な性格の人には不向きです。マシニングセンタでは、わずかなズレでも製品全体の品質に影響を与える可能性があります。そのため、細部にまで気を配り、正確に仕事を進められる人に向いています。
ロボットやメカが好きな人
マシニングセンタ・オペレーターの仕事は、機械を操作する仕事です。そのため、ロボットやメカに興味がある人に向いています。機械に関心がある人は、機械を自在に動かせるようになりたいという意欲がモチベーションとなり、スキルアップに繋がります。
特に、自分が入力した数値通りに機械が動き、意図した製品が作られる過程には、大きなやりがいを感じることができます。機械が指示通りに動くことは、目に見える成果としてわかりやすく、技術を習得する意欲をさらに高めます。
一方で、機械に興味がない人には、マシニングセンタ・オペレーターの仕事は退屈に感じるかもしれません。入力作業や機械操作に興味が薄いと、単調な作業に見えてしまい、仕事へのモチベーションを保つのが難しくなります。そのため、機械やロボットに対する興味を持っていることが、この仕事を楽しむための重要なポイントです。
難しいがやりがいのある仕事
マシニングオペレーターの仕事は、機械を操作して素材を精密に加工する技術的に高度な職業です。初めは難しいかもしれませんが、経験や実務を積むことで着実にスキルを磨くことができます。
性別や年齢に関係なく誰でも挑戦できる職業であり、その技能は製造業全般で重宝されます。一度身につけた技術は一生ものであり、不況に強い職業でもあります。また、挑戦の度に技術が向上し、完成した部品の達成感は非常に大きいです。マシニングオペレーターとしてのキャリアは、難しさとやりがいを兼ね備えた魅力的な職業です。
マシニングセンタを取り扱っている企業を紹介
マシニングセンタを取り扱っている企業は全国に多数あります。その中でも代表的な企業を紹介します。
◇メクトロン
メクトロン株式会社は、フレキシブルプリント配線板(FPC)の製造を主力事業とする企業です。最先端の技術を活用し、多層化・高密度化されたFPCを提供しており、スマートフォン、自動車、医療機器など、さまざまな分野で活用されています。独自の研究開発力と高い生産技術により、信頼性の高い製品を提供し、世界市場で競争力を持つグローバル企業として成長を続けています。
◇ブラザー工業
ブラザー工業株式会社は、プリンターやミシン、産業用機器などを手がけるグローバルメーカーです。「お客様第一主義」を掲げ、革新的な技術と高品質な製品を提供しています。家庭用からビジネス用まで幅広い市場で支持を集め、また、環境負荷を軽減する製品設計や持続可能な事業運営にも積極的に取り組んでおり、社会的責任を果たす企業として評価されています。
◇静岡鐵工所
静岡鐵工所は、産業用機械や精密加工機械を製造する企業で、産業界の発展を支える技術を提供しています。創業からの長い歴史を持ち、品質へのこだわりと高い技術力で多くの業界から信頼を得ています。特に、エネルギーや自動車部品の製造に欠かせない重要な機械を提供しており、国内外で高い需要を誇ります。
◇ニデックオーケーケー
ニデックオーケーケーは、精密工作機械や金型加工機を開発・製造するニデックグループの一員です。精密部品加工や高精度な金型製造に特化した最新鋭の機械を提供しています。長年の経験と技術革新を活かした製品は、多くの産業で高く評価されており、顧客ニーズに合わせたカスタマイズ提案も行い、製造現場の効率化と品質向上を支援しています。
◇日精ホンママシナリー
日精ホンママシナリーは、プラスチック成形機の製造を専門とし、国内外で広く展開しています。エネルギー効率の高い成形機や精密成形技術に定評があります。顧客のニーズに応えるため、積極的に技術革新に取り組み、製品ラインを拡充しています。また、環境負荷低減を重視した製品開発を進め、持続可能な社会の実現にも貢献しています。
◇オークマ
オークマは、旋盤やマシニングセンタを提供する企業で、高精度な加工機械を多くの製造業で採用されています。自社開発の制御装置「OSP」を搭載した機械は、操作性と生産性を大幅に向上させることができます。グローバル市場で強い存在感を持ち、技術革新を通じて製造業の発展に寄与しています。
マシニングオペレーターはマシニングセンタを操作し、金属やプラスチックなどの素材を図面に基づいて精密に加工します。このプロセスでは、加工条件の設定、適切な工具の選定、加工時の細かな調整が必要とされます。
マシニングオペレーターの仕事には、高度な技術と注意深い作業が求められます。加工中は微細な誤差も許されず、加工条件の調整や作業の進捗管理が重要です。仕上げ作業では、加工品の公差管理や表面仕上げの品質管理が行われ、部品の仕様に合わせた精度の確保が求められます。また、バリ取りなどの細かな作業も重要です。
マシニングオペレーターに向いている人物像は、細部にわたる作業への関心や数字に対する高い理解力があります。この職業は技術的に高度であり、経験を積むことでスキルを磨き、製造業における重要な専門家としてのキャリアを築くことができます。
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