内製化するパーツを増やしたい!マシニングセンタの導入で得られた効果とは | マシニングセンタ大解剖
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内製化するパーツを増やしたい!マシニングセンタの導入で得られた効果とは
公開:2024.05.27 更新:2024.05.27近年、多品種少量生産が主流となり、製造現場では効率的で柔軟な生産体制が求められています。今回ご紹介する企業は、1,000種類以上のオリジナルパーツを内製する中で、従来の汎用機による生産体制に限界を感じていました。そこで、ヤマザキマザックのマシニングセンタ「VCN-430A」を導入することで、内製化の拡大を目指しました。
目次
マシニングセンタを導入するまでの経緯
近年、製造現場において必要な物を必要な分だけ製造する多品種少量生産が主流になりつつあります。今回ご紹介する導入事例の企業でも、顧客の多様なニーズに応えるため、1,000種類を超えるオリジナルパーツを社内で設計・製造し、多品種少量生産体制を築いてきました。
しかし、従来の汎用機を用いた生産体制では、対応の限界を感じた企業で、マシニングセンタの導入に至った経緯を解説していきます。
◇社内で多数のパーツを製造
ある企業は、多数のオリジナルパーツを内製していました。顧客のニーズに合わせてカスタマイズできる製品を多数開発・販売しているため、多種多様なパーツを内製化する必要があったためです。
しかし、その都合上、多品種少量の生産体制を取らざるを得ませんでした。汎用機を用いた生産では効率が悪く、リードタイムの長期化やコスト増大が課題となっていました。
顧客の要望に応えながら、高品質な製品を短期間で提供するためには、生産性の向上が不可欠です。そこで、従来の汎用機に代わる、柔軟性の高い生産体制を構築する必要がありました。
◇多品種少量生産とは何か
多品種少量生産とは、多くの種類の製品を少量ずつ作る生産方式のことです。この方法の利点は、市場の変化や顧客の要望に迅速に対応できることです。大量生産と異なり、在庫を多く抱えずに済むため、無駄を減らすことができます。
また、顧客一人ひとりのニーズに合わせた製品を提供することで、顧客満足度が向上し、競争力を強化することが可能です。品質、機能、デザインなどを顧客の要望に応じてカスタマイズできるため、満足度が高まり、注文が増えることが期待できます。
多品種少量生産は、地域やターゲット層ごとに戦略的に製品を生産し、売上や利益率の向上を図ることができます。また、顧客ニーズに合わせて少量ずつ生産するため、過剰な在庫を抱えるリスクも減少します。場合によっては、完全受注生産を採用し、在庫を最小限に抑えることも可能です。
オリジナルパーツと多品種少量生産で生じていた課題
画像出典先:株式会社メトロール
多品種少量生産で、特にオリジナルパーツの製造においては、顧客に合わせたカスタマイズが可能で、満足度を高めることができます。しかし、この生産方式にはいくつかの課題もあります。次に、製造現場がマシニングセンタ導入前に抱えていた課題について解説します。
◇リードタイムの長期化
多品種少量生産では、多くの種類の製品を少量ずつ効率的に生産するために、機械の設定変更(段取り替え)を迅速に行う必要があります。しかし、従来の汎用機を使用する生産体制では、段取り替えに時間がかかり、リードタイム(注文から納品までの時間)が長くなるという課題がありました。
汎用機を使う場合、一つのパーツを加工するために多くの工程を手作業で行わなければなりません。例えば、材料のセット、工具の交換、加工位置の調整など、作業者が手作業で行うことが多く、その間は機械が停止してしまいます。このため、作業者の負担が大きくなり、効率が低下します。
さらに、加工が終わるまで作業者が機械から離れられないため、他の作業に取りかかることができず、生産全体の効率も下がります。これにより、多品種少量生産の利点を活かしきれず、オリジナルパーツの製造においても非効率な状況が生まれてしまいます。
◇コストの増大
多品種少量生産では、一品目あたりの生産数が少なくなるため、どうしてもコストが増大してしまう傾向にあります。これらには、外注部品の高コスト化や受発注や在庫の管理など、管理コストも含まれています。
さらに、従来の汎用機を用いた生産体制では、作業者の人件費や段取り替えに時間がかかり、数を作れないことが、コスト増大に拍車をかけていました。
初心者でもプログラミングできるマシニングセンタを導入
これらの課題を解決するために、同社は、ヤマザキマザック製のマシニングセンタ「VCN-430A」を導入しました。ヤマザキマザックは、工作機械メーカーとして世界トップクラスのシェアを誇る企業であり、高性能かつ操作性に優れた工作機械を提供することで知られています。数あるマシニングセンタの中から「VCN-430A」を選んだ決め手は、NCプログラミングの容易さと、工具交換などの自動化によるロスタイム削減でした。
◇NC初心者でもNCプログラミングが可能
「VCN-430A」は、直感的な操作が可能なため、NCプログラムの経験がない担当者でも、比較的容易にプログラムを作成できます。従来の汎用機では、プログラミングの専門知識を持った人材が必要でしたが、「VCN-430A」の導入により、作業者でもプログラムを作成できるようになりました。
◇工具交換などで生じるロスタイムを短縮
VCN-430Aという機械を使用することで、工具交換などで生じるロスタイムを大幅に短縮できました。この機械は送り速度が速く開閉扉が広いため、作業効率が大幅に向上しました。
具体的には、工具の本数を標準の30本から40本に増やしました。通常、工具交換が増えると加工が一時停止する時間も増えるため、生産性に悪影響が出ることが懸念されます。しかし、VCN-430Aの優れた機械性能のおかげで、工具交換による停止時間を短縮できました。
より多くのパーツ内製化が実現
ヤマザキマザックの「VCN-430A」導入により、これまで以上に多くのパーツを内製化することが可能になりました。この内製化の拡大は、同社にとって、コスト削減、納期短縮、品質向上など、さまざまなメリットをもたらしました。
◇リードタイムと納期の短縮を実現
「VCN-430A」の導入により、NCプログラム作成の簡易化や自動工具交換装置による段取り替え時間の短縮など、さまざまな工程で効率化が実現しました。
具体的には、従来は外部に委託していた複雑な形状のパーツ加工も内製化できるようになり、外注していた際の輸送時間や、発注から納品までのやり取りにかかっていた時間を大幅に削減することができました。そのため、これまで以上に短時間でパーツを製造することが可能になり、リードタイムと納期の短縮を実現しました。
◇外注コストと管理コストを削減
「VCN-430A」導入は、コスト面にも大きな影響を与えています。従来は外部に委託していたパーツの内製化に成功したことで、外注コストを大幅に削減できました。発注や納品に関する管理コストも軽減されたため、担当者の業務効率化にもつながっています。
また、内製の生産量が増えたことで、材料の調達もまとめて行えるようになり、より安価に材料を仕入れることが可能になるケースもありました。
近年、多品種少量生産が主流となり、1,000種類以上のオリジナルパーツを設計・製造している企業でも、従来の汎用機を用いた生産体制に限界を感じていました。多様なパーツを内製する必要があるため、汎用機では効率が悪く、リードタイムの長期化やコスト増大が課題となっていました。
これらの課題を解決するために、同社はヤマザキマザックのマシニングセンタ「VCN-430A」を導入しました。VCN-430Aは、NCプログラミングが初心者でも容易にできるため、柔軟な生産体制を構築するのに適しています。 また、工具交換などのロスタイムを短縮し、作業効率を向上させました。
その結果、内製化が拡大し、コスト削減、納期短縮、品質向上を実現しました。具体的には、外部委託していたパーツの内製化により、外注コストと管理コストが削減され、材料調達の効率化も達成しました。VCN-430Aの導入により、生産性と競争力の向上が図られました。
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