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徹底した切粉対策でマシニングセンタの更なる自動化を目指す | マシニングセンタ大解剖

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徹底した切粉対策でマシニングセンタの更なる自動化を目指す

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公開:2024.06.26 更新:2024.11.28

徹底した切粉対策でマシニングセンタの更なる自動化を目指す
画像出典:フォトAC

徹底した切粉対策は、マシニングセンタの更なる自動化を実現するための重要なステップです。切粉の種類や発生量、排出方向などを制御することで、加工精度向上、工具寿命延長、作業員安全確保など、様々なメリットを実現することができます。

こちらでは、マシニングセンタの切粉対策について詳しく解説します。切粉対策の重要性と、具体的な対策方法を理解し、マシニングセンタの効率化を加速させていきましょう。

切削加工における切粉の重要性とトラブル防止対策

切粉は、切削加工で出る金属のくずのことです。切粉の形状は加工の品質を示す重要な要素である一方で、トラブルの原因にもなります。トラブルを防ぐためには、切粉の清掃が欠かせません。

◇切粉とは

切粉とは、金属の切削加工を行う際に発生する、金属片やくずのことを指します。工場内では、「ダライ粉」という呼び方をすることもあります。切粉の形状は加工方法や使用するワーク(加工する素材)の種類によりさまざまであり、例えば、長く連なった螺旋状のものや、細かくパラパラとした粉状のものなどが存在します。

切粉の特徴や状態は、加工がどれだけ順調に進んでいるかを示す指標にもなります。つまり、切粉の形状や量を観察することで、加工の状態や仕上がりの良し悪しを推測することができるのです。たとえば、一般的な旋削加工(旋盤で行う加工)では、切粉がスムーズに流れる形状をしていることが理想的とされています。このように、切粉の状態を確認することは、作業の進行状況や工具の状態を把握するためにも非常に重要です。

◇切削加工では切粉によるトラブルが多い

切削加工を行う工作機械のトラブル原因は多岐にわたりますが、その中でも最も頻繁に発生するのが切粉に関係する故障です。切粉が機械の隙間に入り込むことで、機械の部品に重大なダメージを与えることがあります。例えば、テレスコカバーやスライドカバーなどのカバー部分に切粉が堆積すると、そこから切粉が内部の精密な部品に侵入し、軸部品やその他の重要な部品が摩耗して破損することがあります。

特に注意が必要なのは、複合加工機、タレット旋盤、横型マシニングセンタといった機械です。これらの機械は、切粉が加工エリアの近くのカバー部分に溜まりやすいため、切粉の侵入が原因でトラブルが発生するリスクが高いです。このようなトラブルを防ぐためには、切粉の清掃が非常に重要です。

切粉の清掃は、切削加工における最も基本的で重要な作業の一つです。しかし、この清掃作業はオペレーターの判断に委ねられているため、日常的にメンテナンスを行っている場合でも、切粉の清掃を見落としてしまうことがあります。特に忙しい現場では、清掃が後回しになってしまい、機械の故障を引き起こす原因となりがちです。したがって、定期的で徹底的な切粉の清掃が必要不可欠であることを再認識することが重要です。

切粉の影響と製品品質への影響を最小限に抑える方法

オークマの横形マシニングセンター

画像出典:日経クロステック(xTECH)

切削加工をする際に、切粉は製品および工具に対しても影響を及ぼします。品質の高い加工品を安定して生産するためには、切粉をコントロールすることがとても重要です。

◇製品に与える影響

切粉は切削加工において重要な役割を果たす一方で、その形状や発生量、排出方向によって製品の品質に大きな影響を与える可能性があります。例えば、長い切粉は加工中に製品の表面に巻きつきやすく、これが原因で微細な傷や研磨痕が発生することがあります。これらの傷は、最終的な製品の品質や外観に影響を及ぼすことになるため、非常に重要な問題となります。

また、太い切粉が発生した場合、工具にかかる負荷が大きくなり、工具の摩耗や破損が早まる可能性があります。これにより、工具の交換頻度が増え、製造コストが増加するとともに、生産効率が低下する恐れもあります。一方で、非常に細かい切粉が多く発生した場合、これが加工面に付着してしまうことがあります。細かい切粉は表面に残りやすく、これが研磨痕や曇りを引き起こし、製品の仕上がりに悪影響を与えることもあります。

さらに、切粉が過剰に発生して排出が追いつかない場合、加工面に堆積してしまうことがあります。この状態が続くと、加工面が汚れたり、精度が低下したりするだけでなく、工具に詰まってしまい、工具の効率的な動作が阻害されることにもつながります。これにより、加工精度が低下し、最終的には製品の品質や生産性に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

◇工具への影響

内径加工や中ぐり加工などの穴加工では、特に注意が必要です。これらの加工では、工具内部に切粉がたまりやすく、排出が不十分だと工具に過剰な負荷がかかり、工具の摩耗や損傷を引き起こす可能性があります。切粉が適切に排出されないと、ドリルやエンドミルなどの切削工具が詰まりやすく、その結果、工具が破損したり加工が止まったりすることがあります。

工具が損傷すると、当然ながら生産ラインがストップするため、生産遅延が発生し、企業にとっては多大な損失を招くことになります。このような事態を未然に防ぐためには、切粉の発生を抑える工夫が必要です。具体的には、切粉を短くするように加工条件や使用する工具を見直すことが効果的です。切粉が長くなりすぎないように、適切な切削速度や送り速度を選定し、切粉の適切な排出を促進することが大切です。

マシニングセンタにおける自動除去の仕組み

切粉対策が施されたマシニングセンタは、切粉を自動除去するチップコンベアが搭載されているため、切粉の熱で加工精度が低下する心配がありません。切粉除去システムがあれば、切粉により停止することもなくなるため、長時間の自動運転も可能です。

◇マシニングセンタの切粉自動除去システムについて

マシニングセンタでの切削加工中に発生する切粉が内部に堆積することは、精度や品質に悪影響を与える可能性があります。特に、切粉がベッドやテーブル、コラムに積もると、切粉に含まれる熱がこれらの部品に伝わり、温度変化を引き起こします。この温度変化は、加工精度に直接的な影響を与えるため、切粉は速やかに処理され、機械の構造部分には触れないように排出される必要があります。これにより、安定した加工精度を維持することができます。

この問題を解決するために、現代のマシニングセンタには「チップコンベア」という装置が搭載されています。このチップコンベアは、切粉を効率的に除去するだけでなく、切削油剤と切粉を分離する機能も備えており、切粉とともに油剤が排出される仕組みになっています。この機能により、機械内部のクリーンな状態が保たれ、機械のパフォーマンスが最大限に発揮されます。

◇優れた切粉除去システムが生み出すマシニングセンタの強み

センタトラフ構造を採用した切粉除去システムは、加工室全体にクーラントを循環させることで、加工中に発生する切粉を効率的に除去することができます。このシステムは、切粉をただ取り除くだけでなく、長時間にわたり安定した性能を発揮できるよう設計されており、メンテナンスの負担を軽減するだけでなく、製品の品質向上にも寄与します。

また、切粉除去システムが適切に機能することで、機械内部に切粉がたまるリスクを減らし、故障による設備停止を未然に防ぐことができます。その結果、長時間の自動化が実現でき、連続運転が可能となります。これにより、生産効率が大幅に向上し、作業の滞りを防ぐことができます。

切粉の処理性能を高めて長時間の自動化に成功

オークマは「止まらない機械」を目指し、横形マシニングセンタMA-600HIIIを開発しました。MA-600HIIIは切粉の処理機能に優れているため、長時間の無人稼働も可能です。重切削能力に優れ、熱変位制御技術を採用しているため、切削時間の短縮と電力削減にも貢献します。

◇オークマが目指した「止まらない機械」

NC工作機械を製造販売するオークマ(愛知県・大口町)は、横形マシニングセンタMA-600HIIIを発表しました。新型コロナウイルス禍で増加する無人稼働のニーズに応えると共に、「止まらない機械」を目指して開発された製品です。

MA-600HIIIは、切粉の処理性能および高速・高能率な加工性能に優れ、多様なワークを自動で把持できるなど、長時間の無人稼働を可能にする設計がされています。機内カバーの構造を見直し、機内に堆積する切粉の量を減らすことにも成功しました。残留した切粉を除去する洗浄機能を強化したことで、ドライ加工でも切粉を洗い流せる洗浄サイクルを設定できます。

◇切削時間の短縮や省エネにも優れた性能

特別仕様として、多種多様の材種に適用できる新しい主軸を搭載することが可能です。最高回転速度は1万rpmで、短時間の加工では652N・m、連続加工では349N・mのトルクを発生します。正面フライス加工での最大切削量は、鋳鉄(FCD450)で1496cm3/min、鋼材(S45C)で1240cm3/minです。従来の標準主軸と比べて、重切削能力が68%向上しているため、切削時間の短縮を図れます。

また、熱変位制御技術「サーモフレンドリーコンセプト」を採用し、経時熱変位を7μmに抑え、従来機種と比較して13%の改善にも成功しました。これにより、恒温室がなくても安定した精度で加工ができるため、設備費用や消費電力の削減も実現できます。


切削加工における切粉は、加工品質の指標として重要ですが、同時にトラブルの原因にもなります。切粉は加工の過程で生成される金属くずであり、その形状や量は加工品に影響を与えます。

特に、切粉が機械の内部に侵入することで故障の原因となることが多く、例えばテレスコカバーやスライドカバーに堆積すると、軸部品の破損を引き起こす可能性があります。複合加工機やタレット旋盤などでは切粉の管理が特に重要であり、定期的な清掃が欠かせません。

切粉の除去を自動化するマシニングセンタも登場し、加工精度の安定化や長時間の自動運転が可能になっています。切削時間の短縮や省エネにも寄与する新技術の導入が進む中、切粉管理の重要性はますます高まっています。

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