半導体製造装置部品の高精度加工を実現するマシニングセンタ | マシニングセンタ大解剖
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半導体製造装置部品の高精度加工を実現するマシニングセンタ
公開:2024.07.25 更新:2024.07.25半導体製造には、極めて高精度な加工が求められます。特に半導体製造装置の部品は、微細な構造を持ち、高い精度が必要とされます。このような精密加工を実現するためには、最新の技術を駆使したマシニングセンタが欠かせません。マシニングセンタは、優れた分解能と安定した加工精度を提供し、半導体製造装置部品の高精度加工を可能にします。
目次
半導体の需要と半導体製造装置部品
スマートフォンや自動車、家電製品に至るまで、今や半導体は現代の生活に欠かせない存在となっています。その需要の増加と、それを支える半導体製造装置部品について解説します。
◇半導体の需要の増加
2020年代に入り、5GやCASE(Connected, Autonomous, Shared, Electricの略)といった技術が進展し、スマートフォンや自動車、IoT(モノのインターネット)関連で世界的な半導体ブームが起こっています。この影響で、半導体を作るための製造装置やフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置も需要が高まっています。
5GやCASEの技術は、大量のデータ通信を必要とします。これにより、大量のデータを処理するための高性能な半導体が求められるようになりました。半導体市場は需要が増加すると見込まれる一方で、「2024年問題」と呼ばれる懸念もあります。
これは、現在続いている世界的な半導体不足が2024年に終息した場合、供給過剰に陥る可能性があるという問題です。しかし、半導体が安くなれば、電子機器への搭載量が増えるため、2024年問題は社会全体のデジタル化を進めるチャンスにもなり得ます。半導体の需要増加は、今後の技術革新やデジタル社会の発展にとって重要な要素となっています。
◇半導体を製造するために必要な半導体製造装置部品
半導体製造装置部品とは、半導体製造プロセスにおいて使用される機械や装置の一部であり、半導体デバイスを製造するための重要な構成要素です。これらの部品は、半導体ウエハ(シリコンなどの基板)に微細な回路パターンを形成し、さまざまな物理的・化学的プロセスを実行するために設計されています。
半導体製造装置部品の例としては、真空チャンバー、真空バルブ、ウエハハンドリングロボット、チップトレイ、プラズマ生成装置などがあります。
半導体製造装置部品加工の難しさ
半導体製造装置部品の加工は、高度な技術と精密さが求められる複雑なプロセスです。その難しさについて以下のポイントを解説します。
◇高い精度が要求される
半導体製造装置の部品には、一般的な製造装置よりもさらに高いレベルの加工精度が求められます。半導体は非常にデリケートな製品で、微細な傷が1つでもあると機能しなくなってしまいます。そのため、半導体を作るための装置部品にはミクロンレベルの精度が必要です。
例えば、半導体製造に使われるフォトマスクやエッチング装置のパーツは、ナノメートル単位の精度でパターンを形成するために設計されています。この高精度な加工を実現するには、最新のCAD/CAM技術を駆使した設計と、超精密加工機械を使用した加工が欠かせません。加工中の微小な誤差や不均一性は、最終製品の品質と性能に直結します。
◇素材が限定される
半導体製造装置部品の製造には、特定の素材が必要不可欠です。これらの素材は、極めて厳しい条件下で安定性を保ちながら機能する能力が求められます。
例えば、ターボ分子ポンプの内部機構や真空チャンバーの壁などには、高真空環境下での化学的安定性や耐熱性が重要な特性として求められます。したがって、特殊な金属(モリブデン、タングステン、チタンなど)が使用されます。
◇溶接はできない
半導体製造装置部品は非常に高い精度が要求されるため、溶接による加工を避け、精密な機械や接合技術によって加工を行うのが一般的です。溶接を行うと、材料が熱変形したり、溶接跡が残ったりするリスクが高く、これが装置の性能や安定性に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、特殊な金属材料(タングステン、モリブデンなど)は、その特性を維持するために特定の加工技術が必要であり、溶接での対応は困難です。
半導体製造装置部品加工のポイント
半導体製造装置の部品加工は、高精度でデリケートな半導体を生産するための重要な工程です。半導体は極めて微細な構造を持つため、その製造装置にも最高レベルの精度が求められます。わずかな傷や誤差が製品の性能に大きな影響を与えるため、装置部品の加工には特別な注意が必要です。
◇半導体製造装置部品加工のポイント
半導体製造装置部品の加工では、工作機械の高い分解能が求められます。分解能とは、画像や測定などで使用される用語で、微小な部分や変化を区別できる能力のことです。半導体製造では、微細な特性やパターンが製品の性能や品質に直接影響するため、ナノレベルで測定可能な高い分解能を持つ工作機械を使用しなければなりません。
また、加工においては恒温環境を管理できるクリーンルームも重要です。半導体製造では、微小な温度変動が製品の品質に影響するため、安定した温度制御が必要になります。
◇半導体製造装置部品加工ができる企業は限られている
半導体製造装置部品の加工には、微細加工技術や特殊材料の取り扱いに関する深い知識と経験が必要です。これらの技術は熟練した技術者によってのみ習得され、実践されることが多いため、その技術的なハードルが高いと言えます。
さらに、半導体製造装置部品の加工では、クリーンルームなどの特殊な環境が整備されていることが必須です。しかし、これらの設備や環境を保有し、運用するには高額な投資と維持費が必要であり、そのために参入障壁が高いのも課題となっています。
高精度な部品加工を請け負う木村製作所
画像出典:木村製作所
自社で半導体製造装置部品の加工を行うのが困難な場合、研削・切削加工を専門とする外部の企業に依頼する方法があります。以下では、主に精密機器や半導体製造装置の部品の製造を請け負っている「木村製作所」をご紹介します。
◇高精度の部品製造を行う木村製作所
木村製作所は、半導体製造装置部品加工の分野で高い評価を受けている企業です。同社は、半導体製造装置部品や工作機械部品の精密加工に特化しており、特にタングステンやチタンなどの難削材加工のプロとして、豊富な経験と技術力を誇っています。
同社の精密部品加工は、ナノ加工研究所と呼ばれる専門の施設において、加工から超精密検査まで徹底的な管理のもと製造を行い、最高水準の製品を提供しています。
◇加工実績を紹介
木村製作所では、マシニングセンタによる半導体パッケージ用の精密金型の製造で高い実績があります。具体的には、精密四角穴ポケット加工品などであり、±0.001mmという細かな精度での仕上げが可能です。さらに、木村製作所はこの±0.001mmの高精密切削での大量生産にも対応しています。
現代の生活に欠かせない半導体の需要は、5GやCASEの技術進展により急増しています。これに伴い、半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要も高まっています。半導体市場では、現在の不足が2024年には供給過剰に転じる可能性もありますが、これが電子機器の普及を促進し、デジタル化を推進する機会にもなり得ます。
半導体製造装置部品には、ミクロンレベルの精度が求められます。フォトマスクやエッチング装置のパーツなどはナノメートル単位の精度で設計され、最新のCAD/CAM技術と超精密加工機械が不可欠です。さらに、特定の素材や非溶接加工が必要とされ、精密な機械や接合技術による加工が一般的です。
半導体製造装置部品の加工には、深い知識と経験が必要で、そのための設備や環境を持つ企業は限られます。木村製作所はこの分野で高い評価を受けており、特にタングステンやチタンなどの難削材加工に優れた技術力を持っています。同社はナノ加工研究所での精密部品加工を通じて、最高水準の製品を提供し、±0.001mmの精度での大量生産にも対応しています。
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