NCプログラムで対話式の利点は?作業時間を短縮した事例を紹介 | マシニングセンタ大解剖
特集記事
NCプログラムで対話式の利点は?作業時間を短縮した事例を紹介
公開:2024.07.25 更新:2024.07.25NCプログラムは、NC(数値制御)工作機械で使用される加工プログラムで、機械の動作を指示し製品を作り出します。コードを入力することで工具の動きや加工条件、手順が自動で制御され、正確な加工が実現されます。特に対話式プログラミングでは、オペレーターが画面の指示に従って入力するだけでプログラムが生成されるため、手入力の煩雑さを軽減し作業効率が大幅に向上します。
目次
マシニングセンタを可動する際も必要なNCプログラム
マシニングセンタを効果的に運用するためには、NCプログラムが不可欠です。ここでは、NCプログラムの基本概念とその内容、さらに作成方法について説明します。
◇NCプログラムとは
NCプログラムは、NC(数値制御)工作機械で使われる加工プログラムで、工作機械を動かして製品を作り出すための指示を与えるものです。NCとは「Numerical Control」の略で、数値制御を意味します。数値制御とは、数値データを使って機械の動きを制御する技術のことです。
コードを工作機械に入力して、工具を動かし、加工条件や手順を指示します。これにより、切削や穴あけなどの加工が自動で行われ、工具の交換タイミングも制御されます。具体的には、どの軸の座標をどれだけ移動させるかを指示し、工具が正確に動くようにします。
◇NCプログラムの内容と作成方法
NCプログラムは、アルファベットと数値の組み合わせで構成されており、工作機械に指示を与えるためのものです。このプログラムは、特定の作業を行うために必要な指示を与えます。例えば、「G17」はXY平面、「G18」はZX平面、「G19」はYZ平面を示します。
このように、アルファベット(アドレス)と数値を組み合わせることで、さまざまな機能を実現できます。NCプログラムの作成方法には主に次の3つの方法があります。
手打ち
オペレーターがNC工作機械に付いている制御装置を使い、Gコードなどを直接入力してプログラムを作成します。この方法では、オペレーターが全ての指示を手動で入力するため、詳細な制御が可能です。
対話式
制御装置の操作画面に従って、加工条件や寸法を入力してプログラムを作成します。この方法では、Gコードを直接入力する必要はなく、操作画面の指示に従って入力するだけで、機械が自動的にプログラムを生成します。
CAM(ソフトウェア)
コンピューターを使用してNCプログラムを作成します。オペレーターは使用する工具、切削経路、加工順序などをPC上で決め、ソフトウェアが自動的にプログラムを生成します。作成されたプログラムは、USBメモリやネットワークを通じてNC工作機械に転送されます。
CAD/CAMを使用したNCプログラムについて
画像出典:ヤマザキマザック
CAD/CAMソフトウェアを使用すると、設計図面から自動的にNCプログラムを生成し、効率的に正確なプログラムを作成することが可能です。
◇CAD/CAMによる自動作成
CAD(コンピューター支援設計)は図面や設計データを作成するためのツールで、CAM(コンピューター支援製造)はそのCADデータを加工プログラムに変換するソフトウェアです。CADで作成されたデータは図面や設計データに過ぎず、それだけでは加工できません。
ここでCAMの役割が重要となります。CAMはどのように加工するか、どの工具を使用するかを決定し、具体的な加工プログラムを生成します。多くの現代のCAD/CAMソフトは、設計から製造まで一貫して処理できるように設計されています。
これにより、効率的かつ高精度な製造が可能です。特に、CAMは加工シミュレーション機能を備えており、複雑な加工でも高い精度を維持できます。また、NCプログラムはCAMやCAD/CAMソフトを使って自動的に作成され、加工工程やパスの自動生成が可能です。
◇使いこなすには知識が必要
CAD/CAMソフトウェアを効果的に使いこなすためには、専門的な知識が必要です。まず、CADシステムでは設計図面や3Dモデルを正確に作成するための技術が求められます。これには、設計の基本的な原理や機械加工の知識が含まれます。
一方、CAMシステムではNCコードの知識が重要です。CAMソフトウェアはCADデータを基に、工作機械が実行するためのNCコード(GコードやMコード)を生成します。NCコードは工作機械の動作を制御するためのプログラムコードであり、習得には一般的に半年から1年ほどかかるとされています。
対話式NCプログラミングで工数削減
対話式のNCプログラミングは、工作機械の操作を簡素化し、工数削減に大きく貢献します。この技術により、プログラム作成が迅速かつ効率的に行えるため、製造現場での生産性が向上します。
◇対話式のNCプログラムの利点
対話式のNCプログラミングは、オペレーターが画面の指示に従って加工条件や動作を順次入力する方法です。この方式が工数削減に貢献する主な理由は、タッチパネル操作による利便性と直感性にあります。
対話式タッチパネルの場合、オペレーターは複雑なコマンドやコードを手入力する必要がなく、画面に表示される簡単な指示に従って操作するだけで済みます。これにより、プログラム作成の敷居が低くなり、新人や経験の浅いオペレーターでも迅速に作業を開始できます。
◇モノづくりに真摯に向き合うヤマザキマザック
ヤマザキマザック株式会社は、世界的に高い評価を受けている日本を代表する工作機械メーカーです。1919年に創業され、工作機械、CNC(コンピュータ数値制御)装置、レーザ加工機などの製造・販売を行っています。
ヤマザキマザックが提供する代表的なプログラミング支援技術には、以下のものが挙げられます。
QUICK QUOTE
3Dモデルを利用して加工費や加工時間、使用工具を自動的に算出する技術です。ユーザーは3D CADデータをアップロードするだけで、加工に必要な時間やコスト、最適な加工条件や工具を提案してくれます。
SETUP GUIDE
工作機械のセットアップに必要な段取り指示を自動的に生成する技術です。ユーザーが工具の情報や使用条件を入力すると、必要な手順や設定を具体的に指示してくれます。これにより、セットアップ作業が迅速かつ効率的に行えます。
対話式に切り替えて作成時間が大幅に短縮した事例
画像出典:ヤマザキマザック
手動式やCAD/CAMソフトウェアの使用から、対話式NCプログラミングに切り替えて成功した事例をご紹介します。
◇導入前の課題
ある企業では、手動式やCAD/CAMソフトウェアを使用していた頃の課題として、リードタイムの長期化が挙げられていました。その理由のひとつは、多品種少量生産を汎用機で行っていたため、製造効率が悪化していたことです。
また、既存の機械での作業が一品ごとに専任の作業者を必要とし、そのため在庫の計画的な製作が難しく、現場は目の前の作業に追われる状況でした。
◇ヤマザキマザックのVCN-430Aを導入
同社はこれらの課題を解決するために、ヤマザキマザックの「VCN-430A」を導入しました。この機械を選んだ最大の理由は、対話式NCプログラミング機能にあります。VCN-430Aは、複雑なプログラミング作業を簡素化し、NC初心者でも直感的に操作できるため、プログラム作成の迅速化を実現できます。
VCN-430Aを導入した結果、部品ごとの加工時間が短縮し、さらに少量多品種の生産も安定して確保できるようになりました。実際に操作を担当している従業員は、「タッチパネルで簡単に操作できるので、早いと10~20分程度、長くても1時間くらいでプログラムを組める」と効果を実感しています。
マシニングセンタの運用にはNCプログラムが不可欠で、これは工作機械に対して加工の指示を与えるものです。NCプログラムは数値制御技術に基づき、アルファベットと数値の組み合わせで構成され、機械に具体的な指示を出します。
作成方法は手打ち、対話式、CAM(コンピューター支援製造)の3つがあり、それぞれに特長があります。特に対話式は、オペレーターが画面の指示に従って簡単にプログラムを作成できるため、工数削減に寄与します。
さらに、CAD(コンピューター支援設計)とCAMの統合ソフトウェアにより、設計から製造まで一貫して自動化でき、効率的かつ高精度な製造が可能です。ヤマザキマザックの「VCN-430A」の導入事例では、対話式NCプログラミングによりプログラム作成時間が大幅に短縮され、少量多品種生産が効率化しました。
メディア推奨 メーカー6選