高精度加工が可能な小型マシニングセンタの進化と需要の高まり | マシニングセンタ大解剖
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高精度加工が可能な小型マシニングセンタの進化と需要の高まり
公開:2024.07.25 更新:2024.07.25製造業における技術革新が進む中で、小型マシニングセンタへの需要が急速に高まっています。これには、省スペースで高精度な加工を求める企業の増加や、少量多品種生産への対応が求められる背景があります。特に中小企業や研究開発部門において、小型ながらも高性能なマシニングセンタは、生産効率を高め、コスト削減にも寄与します。
目次
マシニングセンタに対するニーズの変化
マシニングセンタは、技術の進歩と共に、そのニーズや機能も大きく変化してきました。以下では、自動化ニーズの高まりと、それに対応するマシニングセンタの進化について解説します。
◇自動化ニーズが高まる背景
自動化のニーズが急速に高まっている背景のひとつが、労働力不足の深刻化です。少子高齢化による労働人口の減少は製造業にも顕著であり、効率的な生産プロセスが求められています。
競争激化により、コスト削減と生産効率の向上を目指す動きも、自動化ニーズが高まる理由です。自動化技術を導入することで製造コストの削減や生産性の向上が図れるため、多くの企業が導入を進めています。
◇マシニングセンタの進化
マシニングセンタも、このようなニーズの変化に対応して進化を遂げています。マシニングセンタの進化は、主に複合化、多軸化、知能化の3つの方向で進展しているのがポイントです。
複合化は、複数の加工機能を1台の機械で実現する技術です。従来は専用機械で行っていた加工工程を、複合機で一括して処理できるようになっています。多軸化は、マシニングセンタに追加の軸を組み込む技術です。通常の3軸加工に加え、4軸、5軸、さらにはそれ以上の軸を持つマシニングセンタが登場しています。
知能化は、マシニングセンタにAIやIoT技術を組み込むことで、機械の自動制御や予知保全を可能にする技術です。これにより、リアルタイムでのデータ収集や分析が行え、機械の状態を常に監視することができます。
省スペースで導入しやすい小型マシニングセンタ
コンパクトなサイズながらも高性能を兼ね備えた小型マシニングセンタは、多くの産業で注目されています。以下では、小型マシニングセンタの特徴や利点について解説します。
◇需要が広がる小型マシニングセンタ
小型マシニングセンタの需要が高まっている理由のひとつに、企業の省スペース化の促進が挙げられます。特に中小企業や研究開発部門では、工場や作業場のスペースが限られているため、コンパクトで効率的な機械が求められています。
また、小型マシニングセンタは、少量多品種の生産や試作品の製造に最適です。多様なニーズに応じた柔軟な生産が可能であり、迅速な対応が求められる現代の製造業においては、非常に重宝されています。
◇小型マシニングセンタの特徴と利点
小型マシニングセンタは、そのコンパクトなサイズにもかかわらず、高精度な加工が可能です。これにより、限られたスペース内でも精密な加工が実現できます。
さらに、導入コストが比較的低いため、中小企業や新規事業にとっても負担が少なく、導入しやすいという利点があります。操作も簡単で、初心者でも扱いやすいため、導入後の学習コストを低減できるのもメリットです。
マシニングセンタのパイオニア!キタムラ機械
ここからは、マシニングセンタ製造のパイオニアであるキタムラ機械についてご紹介します。
◇キタムラ機械について
キタムラ機械は、1933年創業の工作機械メーカーです。特にマシニングセンタの専業メーカーとして有名であり、1971年に世界初となる立形マシニングセンタを開発したのを皮切りに、多くのモデルで世界各国の特許を取得しています。
当時、国内企業のほとんどは外国企業からの技術供与によるライセンス生産を行っていましたが、キタムラ機械は逆に欧米の企業にマシニングセンタの技術を供与していました。このような実績から、キタムラ機械は国内企業の中でマシニングセンタのパイオニア的な地位を確立しました。
◇キタムラ機械のマシニングセンタ
キタムラ機械のマシニングセンタ「マイセンターシリーズ」は、1981年の発売以来、モデル名を変更せずに技術革新を重ねてきた代表的な製品です。特に基本構造は一切変わらず、長年にわたり高い完成度を維持しています。
その中でもあGシリーズは全軸フルストロークで位置決め精度±0.002mm(2ミクロン)、繰り返し精度±0.001mm(1ミクロン)を実現しており、高精度な加工が可能です。制御装置には独自開発の「Arumatik-Mi」を搭載し、従来の5倍の処理速度で加工時間を大幅に短縮しています。
また、19インチの大型カラー液晶タッチパネル画面により、消費電力を大幅に削減しています。さらに、1680ブロックの先読み機能や高速高精度制御、大容量のプログラム記憶容量を備え、複雑な形状の加工にも対応可能です。
キタムラ機械の導入事例を紹介
画像出典:キタムラ機械
アメリカのB&Z社は、キタムラ機械のマイセンターシリーズを多数導入している企業です。同社がキタムラ機械のマシニングセンタを採用した背景についてご紹介します。
◇マイセンターを導入の経緯
B&Z社では、マイセンターシリーズを導入する前は、アメリカ製のNC装置付きBridgeport機を使用していました。しかし、Bridgeport機は精度は高いものの、加工スピードが非常に遅いという不満がありました。
ちょうどその時期に、オーナーの知り合いからキタムラ機械のマイセンターシリーズを買い取ることになり、試験的に導入することになったのです。
◇小型だが高精度!稼働開始で変わった印象
マイセンターシリーズの導入当初、アメリカ製の設備が主流だったため、従業員からの評判はあまり良くありませんでした。しかし、導入してから半年でその評価は一変しました。このシリーズは、小型でありながら高精度な加工が可能で、一日中稼働しても故障が発生せず、メンテナンスがほとんど不要だったため、従業員から高評価を得るようになりました。
ある従業員は、キタムラの代理店Hogueから購入したMycenter-3を使って円弧を加工したところ、期待通り5ミクロン以下の精度を実現できたと誇らしげに語っています。さらに、Mycenter-0と同様にこの機械も一日中故障知らずで稼働することが確認されました。
現在、31台中19台がキタムラ製であり、最近購入した5軸のキタムラSuperCell-400には20パレットが搭載されています。この機械はパレット用副操作盤を備えており、一週間分の仕事をセットアップできるのが特徴です。
各パレットにはチップIDが埋め込まれており、どのパーツが載せられているのか自動で識別してくれるため、非常に感激したと評価されています。
マシニングセンタは、技術の進歩と共にニーズが変化し、自動化、多軸化、知能化が進展しています。労働力不足と競争激化により自動化ニーズが高まり、効率的な生産プロセスが求められています。
小型マシニングセンタは省スペース化と少量多品種生産に適しており、中小企業でも導入しやすいです。キタムラ機械は、1933年創業のパイオニア企業で、1981年発売の「マイセンターシリーズ」を通じて高精度加工を提供し続けています。
特にGシリーズは高い位置決め精度と繰り返し精度を持ち、独自の「Arumatik-Mi」制御装置で処理速度を向上させています。アメリカのB&Z社は、キタムラ製品の高精度とメンテナンスの容易さを評価し、複数のマシニングセンタを導入し、生産効率を大幅に向上させました。
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