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マシニングセンタの基本構造とは?多様な加工を行う万能工作機械 | マシニングセンタ大解剖

マシニングセンタの基本

マシニングセンタの基本構造とは?多様な加工を行う万能工作機械

マシニングセンタの基本

公開:2024.03.27 更新:2024.03.27

マシニングセンタの基本構造とは?多様な加工を行う万能工作機械

マシニングセンタは高度な自動工具交換機能を備えた工作機械であり、複雑な部品や金型を高効率に加工できる点で、製造現場に革命をもたらしました。手動での工具交換を不要にし、複数の切削工具を使用して自動で多様な加工を実行することが可能です。NC装置による精密な数値制御や、主軸の高速回転、インデックステーブルやベッドによる安定した工作物の固定と精確な配置変更が、その高い加工能力と精度を支えています。また、3軸から5軸までの加工軸を選択可能で、特に5軸マシニングセンタは複雑な加工の自由度を格段に高め、自動工具交換装置(ATC)により工具交換の迅速化を図り、生産効率のさらなる向上を実現しています。

多種類の加工を行うマシニングセンタとは?

マシニングセンタは、自動工具交換機能を備え、複数の切削工具を使用して様々な加工を行う工作機械です。多岐にわたる加工が可能で、一つの装置で複雑な形状の部品や金型を効率的に加工できます。

◇マシニングセンタとは

マシニングセンタとは、自動工具交換機能を備えた工作機械であり、切削や研削などの機械加工を行う装置です。従来のフライスとは異なり、マシニングセンタでは作業者が刃物を手動で交換する必要がなく、加工内容に応じた自動化が可能です。このため、複雑な形状の部品や金型の製造において、効率的かつ精密な加工が実現されます。

マシニングセンタは金型製造や機械部品の加工に広く用いられ、刃物のセッティングには高度な技術が求められますが、その操作性向上のためのツールも進化を遂げています。

◇アメリカでの発達

K&T社の取り組みにより、アメリカにおけるマシニングセンタの発展が推進されました。1960年代には、「ミルウォーキー・マチックⅢ型」や「ミルウォーキー・マチック Ea 型」「ミルウォーキー・マチック Eb 型」など、様々な仕様のマシニングセンタが開発されました。

1959年に登場した世界初のMC「ミルウォーキー・マチックⅡ型」は、その性能が評価され、市場で高く評価されています。マシニングセンタは、一般機械産業にも普及し、小型の部品加工において生産性の向上に貢献しています。

◇日本での発達

1964年に国産のマシニングセンタが登場したことで、日本におけるその発展は急速に加速しました。当時、先進国であるアメリカとの技術格差が明白であり、これに刺激された技術者たちが開発競争を活発化させています。

1968年の第4回見本市では、国産のマシニングセンタが10台出展され、特に牧野フライス製作所が開発したMCP100が量産機として実用化されました。特徴的な外観から、多くの人々より注目を集めました。

主軸で切削を行うマシニングセンタの構造

マシニングセンタは、各部品を制御するNC装置、工作物を削るために切削工具を取り付ける主軸、加工材料を設置するベッドとテーブルなど様々な部品で構成されています。

◇NC装置

工具の動きや加工経路を数値情報で制御する装置です。この技術は1950年代にアメリカで開発され、後に日本にも導入されました。

NC装置は従来の手動操作による加工ではなく、工作機械の動きを自動化し、短時間かつ高精度な加工を実現します。これにより、作業員の経験や勘に頼ることなく、一貫性のある品質の製品を生産できます。

◇主軸

切削工具を取り付けて高速に回転させ、工作物を削る役割を担っています。主軸はマシニングセンタにおいて極めて重要であり、加工精度に直結します。

主軸に求められる性能は、回転速度、トルク、回転精度、剛性、バランス、低発熱、静穏性、起動・停止時間の短縮などです。一般的に主軸の駆動方式には、ACサーボモータ、ビルトインモータ、エアースピンドルの3つがあり、加工ニーズや環境条件に応じて選択され、高度な加工精度と効率を実現します。

◇インデックステーブルとベッド

インデックステーブルは、工作物を固定させる装置です。1度や5度などの単位で角度を調整できるため、割り出しテーブルとも呼ばれます。

インデックステーブルにはカービックカップリングと呼ばれる歯形を備えた円盤が内蔵されており、この歯を噛み合わせてテーブルを回転させます。カービックカップリングの駆動源は通常油圧で、高い剛性を持ちながら切削抵抗にも耐えますが、切削中に回転させることはできません。

ベッドはマシニングセンタ本体を支える装置で、柱であるコラムやインデックステーブルといった様々な部品が乗せられています。振動吸収性高めるために、ベッドの素材には鋳鉄を採用するのが一般的です。

切削油タンクやチップコンベア、主軸のモーターなどを内蔵するため、通常中空構造になっており、強度を高めるためにリブで補強されている部分があります。ただし、リブを厚くしすぎるとマシニングセンタの重量が増すため、リブによる補強は最小限です。

マシニングセンタの軸の種類とは

マシニングセンタの軸の種類は、工作機械が立体的な部品を加工する際に重要な役割を果たしています。加工対象の形状や加工方法に応じて軸を選択し、高度な加工作業が可能です。

◇3軸と5軸

今までのマシニングセンタでは3軸が主流で、X(左右)・Y(上下)・Z(前後)軸の3方向に加工を行います。操作は手動で行われ、4軸・5軸に比べると時間やコスト、精度面で劣りますが、単純な加工においては精度を高めるメリットがあります。


一方、5軸マシニングセンタはX・Y・Z軸に加えて、回転軸と傾斜軸の2軸が使用可能です。このため、手作業の調整が不要となり、ヒューマンエラーのリスクが減少します。専用台座や器具も不要になり、短期間かつ低コストで高精度な加工ができます。

◇A軸とは

X軸を中心として回転する軸であり、時には主軸としても機能します。その可動範囲は一般的に度数で表され、例えば-90°から90°などと定義されます。

これにより工具を斜めに入れる、裏から加工するなども可能になり、複雑な形状の部品を効率的に加工できます。A軸は加工精度や効率を高めるために重要な役割を果たします。

自動工具交換装置(ATC)の種類とは

ATC(Automatic Tool Changer)とは、加工に使用する工具を自動的に交換する装置です。ATCには様々な種類がありますが、その中でも代表的なものにはタレット式やマガジン式などがあります。

◇タレット式

工具を収納できるツールポットを備えているATCです。これらの工具は円周状に配置され、プログラムによって工具が主軸の位置まで移動します。ロボットアームを使用せずに工具交換が可能なため、迅速に作業を行うことが可能です。

一部の機種では、工具交換に1秒もかからないものもあります。そのため、少品種大量生産の加工に適しています。

◇マガジン式

工具マガジンやツールマガジンに工具を収納し、チェンジアームを用いて主軸に取り付けるATCです。ツールマガジンの収納数が多ければ多いほど、多様な加工に対応可能で、100本以上の工具を装着できる機種もあります。

マガジン式は、複数の種類の工具を搭載できるため、取り換えの時間を短縮し、連続加工を実現できます。工具を収納するスペースが広く、大型の工具も収納できるため、1台の工作機で幅広い加工が可能です。


マシニングセンタは、自動工具交換機能を有する高度な工作機械で、複雑な形状の部品や金型を効率的に加工可能な装置です。この機械は、手動での刃物交換を必要とせず、複数の切削工具を利用して多岐にわたる加工作業を自動で行うことができます。マシニングセンタの導入により、従来比較的時間と労力がかかっていた金型製造や機械部品の加工が大幅に効率化され、生産性の飛躍的な向上を実現しています。

マシニングセンタの基本構造は、NC装置による精密な数値制御、主軸の高速回転による切削加工、インデックステーブルやベッドによる工作物の固定と配置変更など、複数の要素が組み合わさっています。

マシニングセンタは、3軸や5軸など、加工軸の数によってもその能力が異なります。特に5軸マシニングセンタは、複雑な形状の加工においてその真価を発揮し、加工の自由度を大きく拡げています。また、自動工具交換装置(ATC)を搭載していることで、工具の交換時間を短縮し、さらなる生産効率の向上を実現しています。

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