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中ぐり加工が可能な工作機器の種類とマシニングセンタとの比較 | マシニングセンタ大解剖

マシニングセンタの基本

中ぐり加工が可能な工作機器の種類とマシニングセンタとの比較

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公開:2024.05.26 更新:2024.06.04

中ぐり加工が可能な工作機器の種類とマシニングセンタとの比較

中ぐり加工は、金属加工の中でも特に高い精度が求められる作業です。この加工を行うための工作機械には、中ぐり盤、ジグボーラー、マシニングセンタなどがあります。それぞれの機械には独自の特長があり、加工精度や効率に大きく影響を与えます。こちらでは、中ぐり加工が可能なこれらの工作機械の特徴を解説し、汎用性の高いマシニングセンタとの違いを詳しく比較します。

下穴を必要な大きさに広げる中ぐり加工

金属加工において、製品の品質を大きく左右する作業のひとつに「中ぐり加工」があります。これは、ドリルでは開けられない大きさの穴を精度よく作るために必要な加工技術です。

◇中ぐり加工とは

中ぐり加工とは、ドリルなどで開けられた下穴を、専用の工具で内側から削りながら広げていき、設計通りの寸法に仕上げる加工のことです。ただ単に穴のサイズを広げるだけでなく、少しずつ削りながら広げていくため、高い寸法精度と滑らかな表面を実現することができます。

中ぐり加工は、例えば、嵌合部分に高い精度が求められる、軸受やベアリングなどの機械部品で使用されています。また、摩耗や腐食によって損傷した穴を再生する場合にも、この中ぐり加工が有効です。

中ぐり加工の難しさと注意点

画像出典先:キカイネット

中ぐり加工は、高い精度となめらかな仕上がりが期待できる一方で、いくつかの注意点があります。ここでは、中ぐり加工を行う際に特に気を付けたいポイントについてご紹介します。

◇加工面が確認しづらい

中ぐり加工は、既存の穴の内部を加工するため、切削工具が対象物に隠れてしまい、加工面を目視することが困難です。そのため、工具の状態や切削状況を即座に把握することが難しく、作業者の経験と技術に頼らざるを得ない側面があります。


加工中のトラブルを回避することは簡単ではないため、加工後の寸法検査などを通じて完成品の精度を確保することが重要です。

◇ビビリの発生

中ぐり加工は、工具が深く突き出すため振動が発生しやすく、これが「ビビリ」と呼ばれる現象を引き起こします。ビビリは、共振や断続的な振動を指し、加工面の劣化、工具の破損、さらには機械の故障を招くことがあります。

ビビリが発生すると、加工精度が低下し、表面が粗くなるだけでなく、工具や加工対象物が損傷するリスクも高まります。このため、ビビリを抑えることが重要です。ビビリを抑えるためには、工具の突出量を必要最小限に抑えたり、切削速度や送り量、角度を調整したりするなどの対策が必要です。

◇切粉の処理

切粉とは、中ぐり加工時に発生してしまう金属の削りカスのことです。中ぐり加工では、加工穴の形状によっては、内部に切粉が溜まりやすくなります。切粉溜まったでは、切削工具と干渉してしまい、加工精度や工具寿命に悪影響を及ぼしてしまうため、適切な処理が欠かせません。


切粉を効率的に排出するためには、切削油の流量や噴射方向を調整したり、切粉除去装置を導入したりするなどの対策が考えられます。また、切削条件を工夫することで、切粉を細かく分断し、排出を促進する方法もあります。

中ぐり加工が可能な工作機器の種類と特徴

中ぐり加工には、いくつかの種類の工作機械が用いられます。それぞれの機械は異なる特徴を持つため、加工する対象物のサイズや形状、求められる精度や効率に応じて最適なものを選ぶ必要があります。

◇中ぐり盤

中ぐり盤とは、その名のとおり中ぐり加工に特化した工作機械です。他の工作機械と比べて剛性が高く、大型の対象物や深穴の加工を得意としています。中ぐり盤は、テーブルの配置や構造によって、主に「横中ぐり盤」と「立中ぐり盤」の2種類に分類されます。

横中ぐり盤

テーブルが水平方向に移動するタイプの中ぐり盤です。主に大型部品の加工に適しており、高い精度で円筒形の穴あけや中ぐり加工を行うことができます。

立中ぐり盤

テーブルが垂直方向に移動するタイプの中ぐり盤です。深穴加工や複雑な形状の加工に適しています。大型の対象物を回転させながら加工することもできます。

◇ジグボーラー

ジグボーラーは、高い精度で穴あけ加工を行うことを得意とする工作機械です。中ぐり加工にも対応しており、特に位置決め精度が求められる場合によく用いられています。「ジグ」と呼ばれるガイドを用いることで、高い精度での穴あけや中ぐり加工を行うことができます。

◇マシニングセンタ

マシニングセンタは、複数の工具を自動で交換しながら、さまざまな加工を連続して行うことができる工作機械です。中ぐり加工だけでなく、フライス加工や穴あけ加工なども1台で行うことができるため、汎用性が高いことが特徴です。

近年では、加工技術の進化により、マシニングセンタを用いた中ぐり加工も一般的になりつつあります。

マシニングセンタとその他の工作機器の違い

近年汎用性の高さから注目を集めているマシニングセンタと、他の工作機械を比較することで、それぞれのメリット・デメリットを明確化し、用途に最適な工作機械選びのポイントを探っていきます。

◇横中ぐりフライス盤とマシニングセンタ

まずは、中ぐり加工に特化した横中ぐりフライス盤と、汎用性の高いマシニングセンタの比較です。

穴あけ精度

横中ぐりフライス盤は、中ぐり加工に特化して設計されているため、非常に高い剛性を持ち合わせ、マシニングセンタと比較して、より高精度な加工が可能です。高い精度を求められる加工には、横中ぐりフライス盤が適しています。

加工の汎用性

マシニングセンタは、中ぐり加工だけでなく、フライス加工や穴あけ加工など、さまざまな加工に対応できる汎用性の高さがメリットです。ひとつの機械で多様な加工をこなせるため、段取り替えの手間を減らし、効率よく作業できます。

加工精度を求めるのであれば、横中ぐりフライス盤を選び、汎用性の高さを求めるのであれば、マシニングセンタの導入が適してる場合が多いといえます。

◇ジグボーラーとマシニングセンタ

次に、高精度な穴あけ加工を得意とするジグボーラーとマシニングセンタを比較します。

位置決め精度

ジグボーラーは、高い位置決め精度を誇ります。その反面、加工範囲が狭く、大型の加工には不向きです。また、治具(ジグ)の製作が必要となるため、段取り替えの手間が増えてしまう、多品種少量生産には不向きです。

一方、マシニングセンタは、ジグボーラーほどの位置決め精度はありませんが、より広範囲な加工に対応可能です。さらに、工具自動交換機能を備えているため、多様な加工を効率的に行うことができます。

このように、中ぐり加工に用いられる工作機械は、それぞれに異なる特徴とメリット・デメリットを持っています。最適な工作機械を選ぶためには、求められる精度、対象物の精度、生産量などの総合的な判断が必要です。


中ぐり加工は、ドリルで開けた下穴を専用の工具で広げ、高い寸法精度と滑らかな表面を実現する技術です。嵌合部品や損傷した穴の再生などに使われますが、加工面の確認が難しく、ビビリ(振動)が発生しやすい点に注意が必要です。ビビリは加工精度を低下させ、工具や機械にダメージを与えるため、工具の突出量や切削条件の調整が重要です。

中ぐり加工を行うための工作機械には、中ぐり盤、ジグボーラー、マシニングセンタなどがあります。中ぐり盤は高精度で大型部品の加工に適し、ジグボーラーは高い位置決め精度を誇りますが、多品種少量生産には向きません。

マシニングセンタは汎用性が高く、多様な加工に対応できますが、専用機ほどの精度はありません。 最適な工作機械を選ぶには、求められる加工精度や生産量を総合的に考慮することが必要です。

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