マシニングセンタの導入コストを抑える!導入の際使える補助金と費用について | マシニングセンタ大解剖
マシニングセンタの基本
マシニングセンタの導入コストを抑える!導入の際使える補助金と費用について
公開:2024.12.12 更新:2024.12.12マシニングセンタは製造業において重要な設備ですが、導入には高額なコストがかかります。しかし、補助金を活用することで、導入費用を大幅に軽減できる可能性があります。中小企業省力化投資補助金やものづくり補助金などの制度を利用することで、初期投資の負担を軽減し、生産性向上を図ることができます。
目次
マシニングセンタの費用相場と複数台導入のメリット
マシニングセンタは、高精度な部品加工を実現するために不可欠な設備です。初期投資はかかりますが、長期的に見れば、マシニングセンタの複数台導入はコスト削減につながる可能性があります。
◇マシニングセンタの費用相場
マシニングセンタの費用相場は非常に幅広く、機械の種類や仕様によって大きく異なります。一般的なマシニングセンタは数千万円から数億円に及ぶ可能性もあります。特に大型のマシニングセンタの場合、その費用はさらに高額になります。
例えば、一般的な門型マシニングセンタは、約1億円程度での販売が多いですが、これには基本的な機能と制御システムが含まれています。さらに、追加のオプションやカスタマイズが加わると、その価格はさらに高くなります。
例えば、5軸マシニングセンタは、3軸マシニングセンタに比べて複雑な動作が必要なため、通常は高価です。こうしたマシニングセンタの価格は、使用目的や業界ごとのニーズによっても変動します。また、同じような機械であっても、販売元のブランドやサポート、保証内容の影響もあります。
◇複数台導入のメリット
マシニングセンタを複数台導入すると、生産性が大幅に向上します。多台持ちにより一人の作業者が複数の機械を同時に操作することで、同じ時間内により多くの製品を生産することが可能になります。
これにより、企業は生産能力を飛躍的に増加させることができ、人件費も効率的に抑えることができます。さらに、複数台の導入によって作業者のスキル向上や多能工化が進み、柔軟な生産体制を構築することができます。
例えば、機械の稼働中に生じる待ち時間を活用して、別の作業や準備作業を行うことができ、全体的な効率が向上します。また、需要の変動に応じて機械の稼働率を調整しやすくなり、システム全体の安定性も高まります。
マシニングセンタ導入の際に使える補助金
画像出典:フォトAC
マシニングセンタの導入には、高額な投資が伴いますが、各種補助金の活用で、費用負担の軽減が可能です。日本政府は、製造業の生産性向上を促進するために、多くの補助金を提供しています。それぞれの補助金の要件や具体的な金額について詳しく解説します。
◇ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を支援するための補助金制度です。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。この補助金の主な目的は、中小企業等の革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善を後押しすることです。
具体的には、新製品開発、生産性向上、デジタル化対応などの取り組みに対して支援を行います。適用条件としては、以下の要件を満たす3〜5年の事業計画を策定し実行する必要があります。
・事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる
・給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる
・事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準にする
補助される金額は、企業規模や事業内容によって異なります。一般的な枠組みでは、補助上限額が750万円〜1,250万円で、補助率は原則1/2(小規模事業者は2/3)となっています。ただし、特定の要件を満たす場合は、補助上限額が最大2,000万円まで引き上げられる場合もあります。
◇事業再構築補助金
事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業の新分野進出や事業転換を支援する制度です。この補助金は、新製品開発、新市場参入、生産プロセスの改善など、企業の大胆な事業再構築を促進することを目的としています。適用条件として、以下の要件を満たす必要があります。
・事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けること。
・補助事業終了後3〜5年で、付加価値額の年率平均3.0~5.0%以上増加等の目標を達成すること
補助金額については、企業の取り組む事業や規模によって異なりますが、最大で費用の3分の2が補助されます。補助金の上限額は3億円と設定されており、中小企業の大規模な設備投資や事業転換を可能にします。
マシニングセンタなどの工作機械の導入も補助対象となります。申請にあたっては、「事業再構築計画」を提出する必要があり、その中で事業の革新性や成長性を明確に示すことが求められます。計画には新事業の内容、市場分析、売上・利益計画などを詳細に記載し、審査を通過する必要があります。
引用:事業再構築補助金
◇小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化を図るための支援制度です。この補助金は、経営計画に基づく具体的な取り組みを支援し、持続的な経営を促進することを目的としています。
この補助金の適用条件としては、まず申請者が小規模事業者であることが求められます。また、持続的な経営に向けた経営計画を策定し、商工会または商工会議所の支援を受けて事業支援計画書を作成する必要があります。これにより、申請者は自社の状況や目指す方向性を明確に示すことが求められます。
補助金の金額については、通常枠では上限が50万円であり、特定の条件を満たす場合には賃金引上げ枠や卒業枠、後継者支援枠、創業枠などが適用されることがあります。これらの枠では上限が200万円となり、補助率は原則として2/3ですが、賃金引上げ枠の赤字事業者の場合には3/4まで引き上げられます。
また、インボイス特例対象事業者にはさらに50万円の上乗せが可能です。対象となる経費には、設備導入や改修、研修、販路開拓などが含まれます。これにより、小規模事業者は多様な分野での取り組みを支援されることになります。
◇業務改善助成金
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の賃金引上げと生産性向上を支援する制度です。この助成金は、事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上のための設備投資を行う企業を対象としています。
適用条件は、中小企業・小規模事業者であり、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より50円以内であることが求められます。また、最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上のための設備投資を行う必要があります。
補助される金額は、最低賃金の引上げ額と対象労働者数によって決定されます。助成上限額は30万円から600万円まで幅があり、最低賃金を30円以上引き上げる小規模事業者は最大30万円、90円以上引き上げて10人以上の労働者に適用する企業は最大600万円の助成を受けられます。
助成率は、事業場内最低賃金に応じて変動し、通常は4/5、生産性要件を満たす場合は9/10まで引き上げられます。対象となる経費には、機械設備の導入、コンサルティング費用、人材育成・教育訓練などが含まれます。
引用:業務改善助成金
今後適用が見込まれる補助金
マシニングセンタの導入を考える際、今後適用が見込まれる補助金についての理解も重要です。これにより、将来的な設備導入計画を立てる際の参考になります。
◇中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、製造業の生産性向上とコスト削減を促進するための支援制度です。この補助金は、特に省力化や省エネ技術の導入を目指す中小企業を対象としています。
補助金の特徴は、最新技術の導入費用の一部を補助することにあります。注目すべき点として、5軸制御マシニングセンタが補助対象に加えられました。これにより、導入費用の最大3分の2が補助される可能性があります。
この補助金を活用することで、中小企業は最新の製造設備を導入しやすくなり、生産能力を大幅に向上させることができます。結果として、製造業全体の競争力強化につながることが期待されます。
◇補助金を活用した場合のシミュレーション
5軸制御マシニングセンタの導入費用を例に、補助金を活用した場合のシミュレーションを行います。例えば、5軸制御マシニングセンタの導入には、機械本体の費用が約5,000万円かかると仮定します。
この場合、補助金を最大2/3補助として申請した場合、3,333万円が補助されることになります。これにより、実際の負担額は約1,666万円となり、導入コストを大幅に抑えられます。
また、補助金を活用することで、経営計画に基づく設備の更新や改善を進めることができ、競争力を維持しやすくなります。このようなシミュレーションを事前に行い、補助金活用の効果の把握が重要です。
補助金を活用する際の注意点
補助金は、設備投資の負担を軽減するために非常に有効な手段ですが、その活用にはいくつかの注意点があります。特にマシニングセンタのような高額な設備を導入する場合、補助金申請に伴う課題や制約についての理解が重要です。
◇申請作業が複雑
補助金申請の最大の障壁は、その手続きの複雑さにあります。申請書類の作成には、多くの時間と労力が必要です。例えば、「ものづくり補助金」では、経営革新計画や財務状況の詳細な説明書類を提出する必要があります。さらに、これらの計画が審査基準を満たしていなければ採択される可能性が低くなるため、申請前に十分な準備が求められます。
また、申請書類の提出期限が厳格に定められており、その期限を守らなければ申請が無効となります。申請をスムーズに進めるためには、事前に補助金の要件や必要書類を確認し、余裕を持ったスケジュール立てが必要です。
◇事業開始の際に受給できない
補助金の多くは、事業の実施後に経費が精算される仕組みになっています。つまり、マシニングセンタの導入費用を全額立て替えた後でなければ、補助金を受け取れません。そのため、補助金を活用する企業は、一定の資金繰りを確保しておく必要があります。
マシニングセンタは高精度な部品加工に不可欠な設備であり、その費用相場は機種や仕様により大きく異なります。一般的なマシニングセンタは数千万円から数億円に及びますが、複数台導入することで、生産性の大幅な向上が期待できます。
マシニングセンタ導入時には、各種補助金の活用で費用負担を軽減できます。ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金、業務改善助成金などが利用可能です。これらの補助金は、中小企業の生産性向上や事業再構築を支援する目的で設計されています。
今後は中小企業省力化投資補助金の適用も見込まれ、5軸制御マシニングセンタの導入費用の最大3分の2が補助される可能性があります。ただし、補助金申請には複雑な手続きが必要で、事業実施後の精算となるため、十分な準備と資金繰りの確保が重要です。
メディア推奨 メーカー6選