省スペースで高生産性!小型マシニングセンタのメリットとデメリット | マシニングセンタ大解剖
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省スペースで高生産性!小型マシニングセンタのメリットとデメリット
公開:2024.12.16 更新:2024.12.13製造業の現場で注目を集める小型マシニングセンタは、コンパクトな設計ながら高精度な加工能力を持ち、省スペースでの設置が可能な工作機械です。試作品製造や少量多品種生産に適しており、中小企業や研究開発部門を中心に導入が進んでいます。一方で、大型ワークや重切削加工には制約があり、用途や導入環境に応じた選定が重要です。
目次
小型マシニングセンタの特徴と用途
製造業の現場で注目を集めている小型マシニングセンタは、コンパクトなサイズながら高い性能を持つ工作機械です。通常のマシニングセンタと比べて省スペースで導入しやすく、多様な産業で活用されています。
◇小型マシニングセンタの特徴
小型マシニングセンタは、通常のマシニングセンタの機能をコンパクトなサイズに凝縮した工作機械です。その最大の特徴は、軽金属の切削に特化していることです。主軸のサイズが30番または40番のものが小型マシニングセンタと呼ばれ、これが性能を特徴づけています。
スマートフォンの筐体加工といった身近な製品にも利用されており、その用途は幅広いです。さらに、小型化による取り回しの良さを活かし、試作品の製作や研究開発の現場でも活用されています。価格も通常のマシニングセンタより安いため、導入を検討する企業が増えています。
◇小型マシニングセンタの主な用途
小型マシニングセンタは、精密部品や小型製品の加工に欠かせない工作機械です。具体的には、自動車のエンジン部品や医療機器のコンポーネントなど、高い精度が求められる製品の製造で活躍します。
また、スマートフォンの筐体加工といった身近な製品にも利用されており、その用途は幅広いです。さらに、小型化による取り回しの良さを活かし、試作品の製作や研究開発の現場でも活用されています。
省スペースで設置可能なため、柔軟なレイアウトが求められる環境にも対応できる点が特長です。
小型マシニングセンタのメリット
画像出典:はじめの工作機械
従来の大型設備に比べて導入のハードルが低く、小規模な事業所からも支持を集めるこの機械には、多くのメリットがあります。ここでは、小型マシニングセンタがもたらす具体的な利点について詳しくご紹介します。
◇コンパクトさと省スペース性
小型マシニングセンタの最大の特長は、そのコンパクトなサイズと省スペース性です。通常のマシニングセンタと比べて設置面積が小さいため、工場スペースに制約のある中小企業や研究開発部門でも導入しやすくなっています。
このスペース効率の良さにより、生産設備の導入がスムーズになり、工場全体の生産性向上にも大きく寄与します。特に、少量多品種生産や試作品製造に適しているため、多様なニーズに柔軟に対応できる点も魅力です。
限られたスペースを有効活用しながら、高精度な加工が可能となるため、製造現場の効率化に大きく貢献します。
◇高速性と生産性の向上
小型マシニングセンタは、高速切削に適しており、その加工効率の高さが大きなメリットです。近年、人手不足による生産性低下が深刻な課題となっていますが、小型マシニングセンタはこの問題を解決する手段として注目されています。
加工効率が高いため、少ない人員でも生産性を維持しやすくなります。一方で、重金属の切削については「難しいのでは?」という声もありますが、主軸40番仕様であればある程度対応可能です。
こうした性能の柔軟性も含め、小型マシニングセンタは現代の製造現場で欠かせない存在と言えるでしょう。
◇導入・運用コストを抑えられる
小型マシニングセンタは、通常のマシニングセンタと比べて導入コストを大幅に抑えることができる点がメリットです。一般的なマシニングセンタは数千万円から数億円の価格帯ですが、小型マシニングセンタであれば、1000万円台から導入可能です。
さらに、オプションやカスタマイズを加えた場合でも、追加費用は数百万円から数千万円程度に収まることが多いです。また、海外製の小型マシニングセンタでは、数百万円で購入できるモデルも存在します。
ただし、多くの製品がオープン価格で提供されている点です。具体的な導入費用を確認するためには、メーカーや代理店に問い合わせて見積もりを取得する必要があります。
小型マシニングセンタのデメリット
小型マシニングセンタには多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。コンパクトなサイズゆえの問題もあるため、導入を検討する際には、それらのデメリットを理解しておく必要があります。
◇大きなワークの加工には向かない
小型マシニングセンタは、その名の通りコンパクトな設計のため、大きな部品や材料の加工には制限があります。大型のワークを機器にセットすること自体が困難な場合があり、セットできたとしても、加工したい箇所に工具が届かないといった問題が生じる可能性があります。
このため、大型部品の精密加工には適していないことが多く、大きなワークを扱う必要がある場合は、十分なスペースを確保した上で、より大型の機械の使用を検討する必要があります。小型マシニングセンタの導入を検討する際は、加工対象のサイズを十分に考慮することが重要です
◇重切削や難削材には向かない
小型マシニングセンタのコンパクトな設計は、同時に機械の剛性の低さにもつながります。このため、重切削加工や難削材の加工には適していないというデメリットがあります。主軸が40番のモデルであれば、ある程度の重切削にも対応可能ですが、大きな切削力を伴う加工では、マシン自体にダメージを与えるリスクが高くなります。
重切削加工や難削材の加工が必要な場合は、より剛性の高い大型や中型のマシニングセンタの使用をおすすめします。小型マシニングセンタは、主に軽切削加工に適しており、その範囲内で最大の効果を発揮します。
導入を検討する際は、想定される加工内容と小型マシニングセンタの性能を十分に比較検討することが重要です。
小型マシニングセンタの主要メーカー
国内外で多くの小型マシニングセンタが販売されていますが、その中で主要なメーカーはどこでしょうか。選択肢が多いと選定に時間がかかることもあります。
そこで、ここでは特に注目すべき主要メーカーを3社に絞ってご紹介します。
◇メクトロン
メクトロンは1929年に創業した工作機械の製造・販売を手がける老舗メーカーです。長年の経験から培われた高い技術力で、品質の高い機器を提供しています。同社の主力製品である小型マシニングセンタ「MTV-T212」は、精密構造、高速減速、コンパクト設計を兼ね備えた高性能機器です。
このモデルは同時5軸制御や小型精密部品加工に対応し、熱変形を考慮した「SX機械構造」を採用することで、従来よりも大幅に剛性が向上しています。メクトロンの製品は、精密加工技術を駆使して製造されており、NC工作機械やFA周辺機器を使用する現場向けに革新的なマシニングセンタを提供しています。
◇ファナック
ファナックは1972年に設立された電気機器メーカーで、工作機械分野で世界的に高いシェアを誇ります。同社の主力製品である小型マシニングセンタ「ROBODRILL」シリーズは、性能、効率、使いやすさを追求しており、標準仕様と高性能仕様の2種類が展開されています。
ROBODRILLは、主軸30番の小型マシニングセンタで、金型加工から鋳物部品の仕上げ加工まで幅広く用いられています。特にスマートフォンの筐体加工を得意としており、EMS企業による特需も見られます3。ファナックは、対面・オンライン講習の実施や「生涯保守」の方針により、導入後も安心して利用できるサポート体制を整えています。
◇ファースト技研
ファースト技研は1976年に設立されたCNC小型工作機械メーカーです。同社の主力製品であるBT#30立型・横型マシニングセンタは、極めて省スペースな設計が特徴です。X軸ストローク500mm、機械幅1150mmという小型サイズながら、2台を密着させたレイアウトが可能で、限られたスペースを有効活用できます。
また、BT#30マシニングセンタとしてはクラス最大級の主軸径φ55mmを備え、強力な主軸性能を誇ります。さらに、コラムフィード方式を採用しており、ガントリーローダやロボットシステムなどの自動化に優れた構造となっています。
小型マシニングセンタは、コンパクトなサイズながら高性能を発揮する工作機械で、精密部品や試作品製造に適しています。主軸サイズが30番や40番のモデルが主流で、省スペース性や低コストでの導入が可能な点が中小企業や研究開発部門に支持されています。
また、軽金属の加工やスマートフォン筐体など多様な用途に活用され、特に少量多品種生産に適していることが魅力です。一方、大型ワークの加工や重切削には不向きで、加工対象に応じた選定が必要です。
主要メーカーには、メクトロン、ファナック、ファースト技研などがあり、それぞれが高性能でコンパクトな機器を提供しています。例えば、メクトロンは高剛性を備えた精密加工機器を提供し、ファナックのROBODRILLシリーズはスマートフォン筐体加工で強みを発揮します。ファースト技研は省スペース設計と自動化対応の製品を展開しています。
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