NCプログラム作成から加工までマシニングセンタの加工手順 | マシニングセンタ大解剖
マシニングセンタの基本
NCプログラム作成から加工までマシニングセンタの加工手順
公開:2024.03.28 更新:2024.06.30マシニングセンタの加工手順は、まず材料や刃物をセットし、NCプログラムを作成してから実際の加工作業に移ります。この一連の流れは製品品質と効率に直結し、ATCの搭載により工具交換が自動化される点が特徴です。加工は粗削りから仕上げまで段階を踏み、NCプログラムでは加工対象の形状や動作を細かく指示し、効率的で正確な加工を実現します。このプログラムの作成手順には、座標値の設定や準備指令の設定が含まれ、加工工程を自動的に進行させます。NCプログラムの利点は生産性の向上と品質の安定、そして複雑な加工の実現です。
目次
マシニングセンタの加工手順とは?
マシニングセンタでの加工作業を自動化する場合、一般的には材料や刃物のセット、NCプログラムの作成、実際の加工作業という流れで行われます。この手順は製品の品質と効率に直結し、重要な役割を果たしています。
◇工具や材料の取り付け
加工したい材料や使用する刃物を適切な位置にセットし、加工中に動かないようしっかり固定します。ATC(自動工具交換システム)を搭載していれば、使用するツールを複数取り付けておき、NCプログラム実行時に自動でツール交換も行われます。
◇NCプログラムの作成
NCプログラムとは数値制御(NC)を指し、工作機械を制御するコンピュータープログラムです。製品図面や3Dデータを参考に、NCプログラムが座標値の移動、工具の回転方向や回転数、切削油の噴射量とタイミングなど、各工作機械へ動作パターンを命令するプログラムを作成します。ただし、NCプログラムを使用するには、それを読み込んで実行できる工作機械が必要です。
◇加工
マシニングセンタにNCプログラムを読み込ませ、準備が整ったらプログラムを実行して材料の加工を開始します。NCプログラムにおいても粗削り加工、中仕上げ加工、仕上げ加工の順に進みますが、仕上げ加工はより精度の高いマシニングセンタで行う場合もあります。
NCプログラムの作成手順とは?
NCプログラムの作成手順は、加工対象の形状や動作を指定し、工具の移動経路や速度の精密な加工を指示します。このプログラムは、自動的に加工作業を行い、効率的で正確な加工が可能です。
◇NCプログラムとは
NCプログラムは、工作機械の操作を指示するためのコンピュータープログラムです。本来、NCは指令テープなどを用いて数値を制御する技術、CNCはコンピュータを用いて数値を制御する技術を指します。
機械加工においては、コンピュータによる数値制御を意味し、具体的には、NC工作機械に対して座標値の移動や工具の位置、複雑な形状の加工などの制御が可能です。
◇NCプログラムの手順
NCプログラムの作成手順は次の通りです。
1. X、Y、Z軸の方向と原点を定める
2. 準備指令を設定します。工具の回転方向や速度、切削油の噴射量などを指定する。
3. 移動指令を入力し、加工対象物を形状に合わせて動かす指示を行う
4. 加工工程が終了したら、次の工程への準備指令を設定する
5. すべての加工が完了したら、作業を終了する指令を入力する
これらの手順により、NCプログラムが工作機械に読み込まれ、自動的に加工作業が進行します。
◇NCプログラムのメリット
NCプログラムのメリットの一つは、生産性が向上することです。NCを用いると加工作業が自動化され、一人で複数の機械を同時に操作できるようになり、作業効率や生産性が飛躍的に上がります。また、加工速度も制御可能であるため、加工時間の管理や生産計画の立案も容易になります。
さらに、品質の安定も大きなメリットです。自動化によって作業者による差異が排除され、品質の一貫性が確保されます。一台のNC工作機械で複数の加工作業を行えるため複雑な加工も可能です。スペースの節約にも貢献します。
マシニングセンタで用いる材料と工具
マシニングセンタでの加工作業には、用途に合わせた材料と工具の選択が重要です。材料は加工対象物の性質や要件に応じて選ばれ、工具は加工形態や加工精度によって異なります。
◇材料
代表的な材料としては、ステンレスや樹脂、アルミ合金が挙げられます。
・ステンレス
強度、耐熱性、耐食性などが高く、錆が出にくいのが特徴です。ただし、熱伝導性が低いため、低温の切粉が加工品に溶着しやすくなります。また、その硬さゆえに加工自体の難易度が高い傾向にあります。
・樹脂
軽量で摩耗性が低く、金属よりも防錆性が高い材料です。ただし、傷がつきやすい、工具に溶着が発生しやすいといった欠点があります。
・アルミ合金
軽量で錆にくく、柔らかいため加工が容易です。海水や真水にも耐性が高く、築材部材、機械部品、日常生活品など幅広く使われます。ただし、融点が低く溶けやすい、延性が高くバリが発生しやすいのが欠点です。
◇穴あけ加工で使う工具
マシニングセンタで穴あけ加工に用いる工具は、ドリル、超硬ドリル、センタードリル、リーマー、タップなどです。
ドリルと超硬ドリルは基本的な穴あけ工具であり、垂直の穴加工に使用されますが、精度はあまり高くありません。そのため、高精度な加工を行うには、センタードリルやリーマーを使用して穴の精度を向上させる必要があります。また、タップはネジ山を加工するための工具であり、ドリルで穴加工を施した後に使用されます。
◇外形切削加工で使う工具
マシニングセンタで用いられる外形切削加工の工具には、正面フライスやエンドミル、サイドカッターが挙げられます。
正面フライスは平面を仕上げる際に使われ、ホルダーに取り付けた切れ刃を用いて広い面を一度に加工します。エンドミルは底刃や側面を使って切削し、マシニングセンタで最も使用率が高い工具です。サイドカッターは円盤状の形状で、円盤の外周部に刃がついており、細い溝を削り出すのに適しています。
マシニングセンタの加工手順とATC
マシニングセンタの加工手順は、平衡を出すための芯出し加工から始まり、荒加工、中仕上げ加工、そして仕上げ加工へと進みます。そして、ATCにはタレット式とマガジン式の2つの種類があり、それぞれの特性に応じて選択されます。
◇マシニングセンタの加工手順
マシニングセンタの加工手順では、まず平衡を出すための芯出し加工が基本です。平衡が出たら荒加工を行い、厳しい公差が求められる場合は中仕上げ加工を行い、精度を高めていきます。
荒加工では材料から大きな掘り込みや穴を加工し、残留応力や加工応力を軽減します。中仕上げ加工では荒加工で残した取り代をさらに仕上げる工程です。最終的な仕上げ加工では、図面の指示公差を収めるために精度を高めます。
◇自動工具交換装置ATC
マシニングセンタでは自動工具交換装置ATCが利用され、ツールマガジンに装着された工具を自動で交換します。ATCはAutomatic Tool Changerの略であり、マシニングセンタに標準装備されています。 タレット式とマガジン式の2種類があり、加工用途に応じた選択が必要です。複雑な加工には工具本数が多いマガジン式が選ばれますが、タレット式ATCは交換の速さや本体価格、設置スペースの点で優れています。最近ではマガジン式の交換速度が向上し、加工の用途に応じて適切な選択が求められます。
マシニングセンタでの加工手順は、工具や材料のセット、NCプログラムの作成、実際の加工作業に分かれます。まず、材料や刃物を適切に固定し、NCプログラムを作成して工作機械に読み込ませます。プログラムは座標値の移動や工具の回転方向、速度などを指示し、自動で加工作業を行います。加工作業は芯出し加工から始まり、荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工の順に進みます。
工具交換には自動工具交換装置(ATC)が利用され、タレット式やマガジン式の選択が可能です。タレット式は交換の速さが特徴で、マガジン式は工具本数が多く複雑な加工に適しています。これにより、効率的で正確な加工が可能となり、生産性と品質の向上が図れます。
材料選びや工具選定も重要で、ステンレス、樹脂、アルミ合金など用途に応じた材料を使用し、ドリルやエンドミルなどの工具で加工を行います。特に穴あけや外形切削の際には、それぞれに適した工具を使用して高精度な加工を実現します。
マシニングセンタを使用する際、その加工手順は、製品の品質と生産効率に直接影響を与える重要なプロセスです。ここで、自動工具交換システム(ATC)が搭載されている場合、プログラムに従って必要な工具が自動で交換され、作業の効率化が図られます。
次に、NC(数値制御)プログラムの作成が行われます。このプログラムは、製品図面や3Dデータを基にして、マシニングセンタがどのように動作すべきかを詳細に指示します。移動の座標値、工具の回転数、切削油の噴射など、加工に必要なあらゆる動作がプログラミングされます。
プログラムが読み込まれた後、実際の加工作業が始まります。加工は粗削りからスタートし、中仕上げ、最終的に仕上げ加工へと進んでいきます。このプロセスでは、精度を徐々に高めていくことで、製品の品質を確保します。
NCプログラムのメリットは多岐にわたります。自動化により、一人で複数の機械を管理することが可能になり、生産性の向上が見込めます。また、加工速度の制御により、時間の効率化が図られます。さらに、自動化による品質の一貫性や、複雑な形状の加工が可能になるなど、マシニングセンタの加工手順は、製造業において極めて重要な役割を担っています。
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